■ドイツ人の国民的スポーツ 2002.10.7 update

ドイツ人の大好きなスポーツといえば、サッカーを思い出すかもしれません。2002年のワールドカップでの熱狂は今思い出しても熱いものがあり、試合に勝ち進んで行くたびに街中にドイツの国旗が溢れかえり、ともに喜びを分かち合う人たちがクラクションを鳴らしながら勝利パレードをしていました。ドイツチームのサッカーの試合のある日は仕事にならず、有給休暇を取ってテレビで観戦する人や、オフィスによっては臨時休暇にするところまでありました。準優勝を成し遂げたドイツチームが日本から帰国した時は、フランクフルトのレーマー広場で歓迎集会が開かれ、さながら優勝したヒーロー選手達を迎えるような熱狂ぶりで5万人の人出が広場からはみ出しました。

このサッカー以上に、深く静かに潜行しているドイツの国民的スポーツといえば、「お散歩」です。その基本は、豊かなドイツの森の中に伸びる散歩道を家族や親しいもの同志でのそぞろ歩きです。特に日曜日は、11時に教会のお祈りに出かけてから家族が集まって食事をし、そのあと近くの森に散歩に出かけるのが昔ながらの真っ当なドイツ人家族の姿です。子供にはとくに日光浴、外気浴は大切ですから、首も座らないころから乳母車に乗せて一緒に出掛けます。ものすべてが美しく輝きはじめる春先、木陰がひんやりする夏、落ち葉が重なり森が香り出す秋、地面が凍り凛とした冷気に包まれる冬、そのすべての四季が散歩にはうってつけです。とくに冬は、帽子、マフラー、手袋、防寒着と家族全員で完全防備で、ひたすらに森の中を歩きまわります。雨や雪は散歩につきものと心得ているのでしょうか、少々降り出してもものともせずに黙々と歩きつづけます。

私の住んでいるところは、フランクフルトの森の端にあり遊歩道の入口まですぐです。私もドイツ人にならって趣味は散歩です。と言ってもドイツ人の徹底性には及ぶまでもなく、せいぜい1時間、1週間に1度ぐらいのものですが。ある日本人がドイツ人の家に遊びに行き、ちょっと散歩に出掛けようと誘われたので同行したら、大きな湖の回りを巡って氷雨をついて3時間歩き続けるという散歩だったそうです。途中休んでお茶にするでもなく、帰るに帰れず、ドイツ人の散歩侮るべからず、もうついていけないと言っていました。

森の中には縦横無尽にお散歩道が続いています。勿論自動車はシャットアウトされていて、散歩道は気持ち良く木片、落ち葉などで覆われています。乳母車、車椅子、自転車などで不自由なく動き回れるように、段差やでこぼこがないようにきちんと整備されており、お見事です。この道は遊歩道、2Km先には湖、1.5Km行くと駅というような標識も整備されています。我家からのんびり歩いて30分のちょうど良い距離のところに、「森の密猟小屋」といった名前のビアガーデン・レストランがひっそりと佇んでいます。ここで一休み、お茶とケーキ。

もしも、飛行機でフランクフルトに来ることがあったら、上空から緑の森を観察してください。あの森の中には散歩道があちこちに通じていて、特にお天気の良い日などはフランクフルトの繁華街にもおとらぬほど人がウジャウジャいるのです。眼を凝らしたら森の中のカフェでビールやワインを飲み、ケーキをぱくついている人たちが見つかるでしょうか。

画像右上:手を携えて散歩
画像左上:「森の散歩道」の標識
画像右下:ビアガーデン・レストラン「森の密猟小屋」
画像左下:「森の密猟小屋」のテラス席


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