■ドイツの湯けむり 2002.5.6 update

温泉というと日本の専売特許と思っていませんか?海外に暮す日本人が懐かしくなるものの1つが温泉情緒で、海外ではあきらめなくければならないと思っている人が多いようである。でも、諦めることはなく、ドイツ国内だけでも公認温泉地が147ヶ所もあり、ローマ人が源泉を発掘し、ゲルマン人が継承した歴史的な温泉もドイツ国内にあちこちに残されている。

ヘッセン州の州都ヴィースバーデンは、第二次世界大戦の戦渦の被害が比較的少なく、プロイセン統治下の1866年から第1次世界大戦の間に建築された、絢爛豪華な劇場、カジノ、市庁舎などが残されており、伝統的ヨーロッパのエレガントな街並みが続く。なかでも1913年に完成した「フリードリヒ皇帝温泉」は、ヴィースバーデンの温泉療養施設の中心的な存在で、建物の右側が温泉施設、左側はかつての温泉診療所で現在はケア付き高級老人ホーム(もちろん温泉付き)になっている。

温泉に入るには、タオル、サンダル、バスローブ、シャンプー、ミネラルウォーターなどを持参すると便利である。もちろん手ぶらでも大丈夫で、受付で借りることができる。入浴法は、たっぷり時間をかけて昔から受継がれてきたアイリッシュ・ローマ式発汗浴がお勧めである。これは温風、冷水、蒸気などを使う「冷温交互浴法」で、新陳代謝を高める。入湯料は4時間で17.5Euro、約2000円也。

初めてこの温泉を訪れる日本人にご忠告を一言。温泉の中は当然裸であり、そして男女混浴。そんなことがあるのかと思うだろうがそうなのである。サウナ風呂のベンチに巨体を横たえたドイツ人男女が屈託なく挨拶を交わし、ユーゲントスティールの優雅なプールではもちろん一糸まとわずにすいすいと泳いでいる。慣れるまではとても奇妙な感じだが、慣れてくれば湯けむりにまぎれ当然という気分になる。ドイツ人の中にいると巨大マグロに囲まれた鯖ぐらいの気持ちである。ただ、混浴はどうしても嫌だというレディーのために、週1回女性専用日が設けられている。それから、タオルは身体を隠すためではなく、サウナで体の下に敷いて汗でベンチを汚さないために使用するものなので念のため。

さすがローマ人が見込んだ温泉だけあって、入浴後は心地良いけだるさのあとは体から疲れがすっきり抜けていく。落ちついた街並みを散策して湯けむりのたつ噴水などを見ていると旅愁が湧いてくる町である。


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