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ドイツといえば誰しもが思い浮かべるのがライン・モーゼル川の白ワインだが、マイン川ほとりのフランクフルト名物はリンゴ酒。さあ、ご一緒にリンゴ酒場に。第2次大戦を生き延びた建物の門をくぐって中庭に出るとそこに入口がある。どうやら夏になると屋外にも席が設けられ、プラタナスの木陰でリンゴ酒を楽しめる仕掛けになっているらしい。店内は簡素な木製の机とベンチがあり、入込み式でドイツ人と相席となる。流行りの酒場だと予約がないと入れないほどの混み様だ。
飲物はここでは、もちろんリンゴ酒。アルコールのだめな人は秋のりんごの収穫期には搾りたてのりんごジュースがある。香り高いドイツの白ワインも置いている。ただし、ビールだけはご法度。のどが乾いていたので「ビールください」と言ったら、店の主人に素っ気なく「ビールは無い」と言われた。
さて、つまみはというと、固めのチーズに玉ねぎのみじん切りをのっけたものを黒パンと共に食べる。これには「音楽つきのチーズ」いう名前がついており、音楽とは身体の下のほうから空気と共に出る音のことである。見た目もそうだが、実に地味な味わいなので最初のうちはあなどっていたが、さすが名物だけのことはあってこれがリンゴ酒とぴったりの協和音を奏でる。
あとフランクフルト名物といえば、グリーンソース。地元産の新鮮ハーブを刻んで、ヨーグルトなどで合えたソースを、半切りゆで卵とゆでジャガイモにかけて食する。このソースは、イタリアを訪れたゲーテがペスト・ジェノベーズに感動して故郷フランクフルトに伝えたという話だが、ご本家よりはずっとさっぱりしている。山の香草が体のなかに取りこまれ、胃や腸がきれいになるようでとても健康的である。
ドイツに来てはずせないのはソーセージ。本場ものは、皮がかりっとしてなかには肉汁がたっぷり詰まっていて、かじると口のなかでこれらが一度にはじける。まっ黄色いマスタードはたっぷりつけたほうが美味しい。つけ合せはお決まりのザウワークラウトとマッシュポテト。
リンゴ酒場を訪れるのはどちらかというと年配者が多く、固い木のベンチで同席したよしみで話し掛けてくる。皆リンゴ酒場については一家言有り、どこのリンゴ酒が美味しいか、どこの料理が良いかを教えてくれる。りんご酒一杯で何時間ねばろうと大きな顔をしていられるのが昔からのしきたりだが、このごろは世知辛くなり店によっては料理をとらないそんな年寄り客に冷たく当たるところもあるようだ。
そう、最後にリンゴ酒のお味だが、地元の通によると3杯目から美味しくなるそうである。リンゴ酒を是非お試しあれ。
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