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真っ暗な会場に心地よく響くカモメの声と波の音。が、ライトが点灯した次の瞬間、陽気なスパニッシュ・ビートに乗って登場したのはあのナオミ・キャンベルでした。鮮やかなイエローのシフォンドレスをまとったスーパーモデルの登場で、会場を埋め尽くしたゲストたちは「またしても!」といわんばかりに、一気にそのテンションを上げたのです。
「CORTAZAR 2005年春夏コレクション」はこんなふうに始まりました。そのデザイナー、エステバン・コータザーEsteban Cortazarは、もしかしたら「いま最も注目されている20歳」なのかもしれないのです。そう、彼はまだ20歳なのです!!!(注:これを書いている時点)
アーティストの父とジャズ・シンガーの母を持つエステバン君(と、敢えて呼んでしまいましょう)は、1984年5月、コロンビアで生まれ、10歳のとき両親と共にフロリダ州マイアミ・ビーチのオーシャン・ドライブに移り住みました。アメリカ3大ネットーワークABC放送の「プライム・タイム」に出演したエステバン君は、番組のなかで、「生まれて初めて、モデルがビーチで撮影しているところやドラッグ・クーイン、ゲイの男性を見たんだ」と語っています。幼い少年にとって、それはカルチャー・ショックそのもの。が、同時に全てが新鮮に見えたはずです。しかも、当時のオーシャン・ドライブはファッション撮影のメッカといえる場所。だから、モデルもフォトグラファーもデザイナーも、エステバン君のすぐ目の前にいたということになります。
ある日、そんな業界人たちがよく出入りするカフェでエステバン君は運命の人、ファッション・デザイナーのトッド・オールドハム氏と出会います。13歳のとき、エステバン君は初めて彼にデザイン・スケッチを見せました。その出来映えにすっかり感心したオールドハム氏はニューヨークのショーにエステバン君を招待、その光景がエステバン君の将来を決定づけます。彼はファッションに恋をして、ファッション・デザイナーになることを決意したのです。
エステバン君のその後の行動には目を見張るものがあります。トッド・オールドハムのショーですでに、有名デパート、ブルーミングデイルズのファッション・ディレクターに自己紹介をしていたことにも驚きますが、それは子供のなせる技だったとして、マイアミに戻った彼は、小学校で自身初のコレクション9点を発表してしまうのです。15歳でキャロリーナ・ヘレラらと肩を並べるようにしてマイアミ・インターナショナル・ファッション・ウイークに参加、30点のコレクションを披露し、その後、本格的にビジネスに参入するために17歳でCORTAZARを設立、18歳でニューヨークに進出します。このときは、古くからの友人、元スーパーモデルのシンディ・クロフォードがエステバン君をサポートしました。リタイアしていた彼女のショーへの参加が周囲を大いに驚かせたのです。そして、そこで発表された作品はブルーミングデイルズのウインドーに飾られました。
それからわずか2年。20歳になったエステバン君は今回、45の作品を発表。それはまさに、マイアミ・ビーチからやって来た少年の想いが素直に表現されたショーとなりました。カモメの声と波の音でスタートしたコレクションは、1つ1つがビーチの風に吹かれることを予想して創られているのではないかと思うほど軽やかで、カラフル。しかも、その若さをまったく感じさせません。「女性が女性であることを祝福したい」というCORTAZARのコレクション画像を下記に掲載しますので、お楽しみください。

最近、日本でも10代にして大きな成功を収めるスポーツ選手などが注目されていますが、エステバン君もそういう意味で、「最小年で(ニューヨーク・コレクションのメイン会場の)テントにデビューしたデザイナー」としてメディアを騒がせています。だからこそ、「今後どうなるんだろう?」と皆が思っているようなのですが、私としては、服を創ることを運命づけられたコロンビアの少年に今後もエールを送りたいキモチです。だってこれって、ものすごいアメリカン・ドリームだと思いませんか? 夢をかなえ、これからもその夢をさらに大きく育てて行くであろうエステバン君に、少しはあやかりたりたいとも思ってしまう今日この頃です。
CORTAZAR オフィシャルサイトwww.estebancortazar.com
ニューヨークでは、ブルーミングデイルズ、ヘンリー・ベンデルなどで購入可。詳細は「ニューヨーク・コレクションに見る、みんなためのニューヨーク情報(2)」2004.12.6 update をご参照ください。
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