■ニューヨーク大停電2003 2003.9.1 update

要するに、「もう、何が起こってもビックリしない」というのがニューヨーカーの本音だったということです。

友人A ちゃんはその日、いつものようにレストランのアルバイトに行くため、駅に向かいました。ホームで電車を待っていると、なぜか一台、すう〜〜〜っと目の前を通り過ぎて行き、「あ〜ん、遅刻しちゃうじゃん!」と思ったそうです。しばらくすると、また別の一台がホームに入って来たのですが、それと同時に、びびびびびびび〜〜〜ん!という変な音がして、突然、辺りが真っ暗に!A ちゃんはとっさに、「え?停電」と思ったそうです。が、他の乗客が、何事もなかったかのように、冷静に改札に向かって行くので、その後をついていきました。

その時、「も〜、どうなっての?」とは思いましたが、電気の使い過ぎで局地的停電が毎年夏になると決まって起こるニューヨークに永年住んでいるA ちゃんは、実はあまりビビっていませんでした。そんなことより「バイトに遅刻しちゃう!」と焦り、「そうだ!電話だ」と公衆電話の受話器を取ると、これが、なぜか電話が通じない・・・・ここにきてA ちゃん、ようやく気づきました。「あれ?信号も消えてるじゃん!」。「とにかくレストランに行かなくては」と責任感の強いA ちゃんは思いました。幸運にも偶然やって来たバスに乗ることができ、席について、また、思ったのです。「一体、お店はどうなっているの?」

が、事態が急変したのはその直後でした。行けども、行けども信号は消えたまま。しかも大渋滞で、ミッドタウンに近づいたあたりから景色も変わってきました。ビルというビルから人がどんどん、どんどん出て来るのです。「なにこの大混乱!もしかして、コレって大変なこと?」

2時間後、ようやくレストランに到着したA ちゃんは同僚のウエイトレスさんの笑顔で迎えられました。「あ〜、よかった!無事だったのね!」 同僚は、いつも地下鉄で通ってくるA ちゃんがそのまま車輌に閉じこめられているんじゃないかと心配していたそうです。「だからね、私がお店のことを心配してたのに、逆に心配されちゃってさ、はははは!」

友人B君もその日、セントラルパークで楽しくフリスビーをして遊んでいました。が、気がつくと、地下鉄がぱったり、動かない。「仕方ないから歩いてクイーンズまで帰りましたよ。すでにしっかり、体、動かしてたから、もう、家についたら、筋肉がパンパンで。はははは!」

友人C ちゃんのメールにはこう書いてありました。「私が駅に降りた時に停電になりました。その夜は蒸し暑くてなかなか寝付けず、結局、約一日停電でした。地下鉄も停まっていたので、車でガソリンを入れに行き、30分並んでやっとゲット。食べ物もあまり買い置きがなく、お金もおろしてなかったので、すごく心細かったですが、週末はいつものごとくビーチバレーボールに行きました。はははは!」

電気で水を供給しているタイプの高層マンションに住んでいる友人D君は、「とにかくさ、トイレがね、使えなくてさ・・・・はははは・・・・」

前出のA ちゃんの証言では、レストランはその晩、敢えなく閉店となり、再度バスに乗って帰宅したそうですが、「その途中で、キャンドルをつけて、外でパーティしている人も結構いて、楽しそうだったの。木曜日だったから、気分はもう週末って感じで。なかなかいい雰囲気だったよ」 さらには、外も家も真っ暗で、何も見えない状況だったにもかかわらず、不思議と「怖い」と思わなかったとも。「一瞬、あのテロを思い出したの。道は大混雑だし、電話は通じないし。でも、あの時、ニューヨークの人はいろんなこと、学んだじゃない。だから、この程度で済んだと思うよ。もう何が起こってもビックリしない体質になっちゃったのかもね。はははは!」

ということで、26年ぶりの大停電を笑い飛ばす友人に囲まれている私はというと、実は、日本でお盆休みをしていたのでした。が、知人Eさんがその日、ちょうどニューヨーク行きの飛行機に乗ることになっていたので、朝、空港から電話をもらいました。その時はこんな大停電だと知らず、ちょっとパニクったEさんに、「あ〜、停電ね、よくあることだからね。そのうち戻るでしょ」なんて呑気に応え、後になって、前代未聞の広域停電だったと知ったのでした。

でも、命を落とすような事態でもないし、我が家のオンぼろ冷蔵庫がイカレてしまうぐらいで何とかなる、と思ったのが正直なところで、結局Eさんも無事ホテルにチェックインしたと聞いて、「うん、こんなもんだ」と妙に納得したのでした。それどころか、この歴史的瞬間に立ち会えなかったことにちょっぴり、淋しさを覚えたりして。はははは!

被害、実害を被った方々からは、「笑い事じゃな〜〜い!」と怒られるかもしれませんね。それでも私は今回のことを、「電気がちょっと止まっただけ」と思っています。だって、家を爆破されたり、マシンガンの銃口を向けられたわけではないのですから、まだまだ余裕。笑っていられます。いいじゃないか、たまには電気がなくたって。そうだ!「ニューヨーク、月一停電の日」なんてのを設定してもいいかもです。地球に優しい感じでしょ。

言い換えれば、色んなコトが有り過ぎて、いまのニューヨークはある意味、実に太っ腹な街になったということなのかもしれません。

画像上:我が家の窓から見える景色は、もう、いたって普通。信号機も順調に動いてます。
画像下:「蝋燭ってアロマテラピーのために使うものじゃななかったのね!」と再認識。というわけで、現在、ニューヨークでは懐中電灯とトランジスタラジオが売れまくり。でも、やっぱり、蝋燭の灯りっていい感じです。


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