番組内容
オーストリア  ウィーン「ナッシュマルクト」
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■ハプスブルク家の皇帝が住んだ宮殿

ヨーロッパの中央に位置するオーストリア共和国。国土の大半がアルプス山系に属し、スイスと並ぶ典型的な山国です。ドナウの流れとアルプスの雄大な山々が連なる緑溢れる国で、その国土面積は北海道とほぼ同じ大きさです。国内にはユネスコの世界遺産リストに登録された文化遺産が7件あり、さらにハンガリーとにまたがって1件の文化遺産が登録されています。この国は多くの作曲家や演奏家を輩出。ドイツと共に世界一のクラシック音楽大国として知られており、首都ウィーンは「音楽の都」「楽都」と呼ばれています。成田空港からウィーンへの直行便があり、所要時間は12時間ほど。通貨はユーロ、1ユーロが約154円です(2006年9月現在)。
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■ペスト流行の終息を神に感謝して建てられたペスト記念柱

オーストリアの首都ウィーン。ドナウのほとりに広がる森の都。東京都と同じく23区から成り、人口は約160万人。大都市とは思えないほど緑豊かなこの街は、ハプスブルク家のもと、かつてヨーロッパの中心だった街です。世界遺産に指定されている旧市街。ここにはヨーロッパの建築、音楽、芸術の最先端であり続けた、歴史的遺産が数多く残されています。シュテファン寺院もそのひとつ。1147年に建てられた建物だが、モザイク装飾など、その美しさはいまだに見る者の心を打ちます。
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■音楽家の憧れの場所、国立オペラ座

シュテファン寺院から続くグラーベン通り。ブティックやカフェが建ち並ぶ人気の通りです。この通りに、ペスト記念柱が立っています。これは、1686年、ペスト流行の終息を神に感謝して建てられたものです。このように街のそこかしこに歴史を感じさせるものが残されています。歴史に触れようと、この街には世界中からツーリストがやってきますが、訪れた人が必ず向かうのが、この王宮。600年以上に渡りヨーロッパを統治し、「日没なき大帝国」と呼ばれたハプスブルク家の皇帝が住んだ宮殿です。栄華を築いた女帝マリア・テレジアは、マリー・アントワネットの母としても有名です。また、ウィーンといえば、数々の音楽家を育てた街としても有名です。モーツアルトをはじめ、シュトラウスやベートーベンもこの街で活躍、名曲を生みました。そして、世界の音楽家の憧れの場所が国立オペラ座です。
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■総合市場「ナッシュマルクト」

首都ウィーンの中心地に位置する総合市場「ナッシュマルクト」。ビジネス街にはさまれた通りに、約1キロに渡って160の店が並ぶウィーン最大市場。約300年の歴史があります。世界中の食料品が並ぶこの市場には、地元民や観光客が訪れます。観光客はオーストリア産のワイン、チーズ、ハムなどの土産品を買うために訪れ、地元民はここでしか買えない世界中の農作物やスパイスなどを買いに立ち寄るのです。

人間ばかりではありません。店に並んでいる農作物も、いろんな国からやってきます。ぺペロンチーノはイタリア産(1束1.8ユーロ=約277円)。トリュフはフランス産(250g2.5ユーロ=約385円)。パプリカはハンガリー産(1kg3ユーロ=約462円)。他にも中国からの白菜(1kg1.6/9ユーロ=約260円)とか各国の名産品が大集合です。野菜の品質は大きく天候に左右されます。時には一級品といえないものを仕入れざるを得ないこともあります。そういう時のために、ここでは品質表示がされています。KLというのが品質の表示で、KL1=一級品、KL2=二級品というわけです。ナッシュマルクトは観光客だけでなく、ウィーンに住む外国人にも御用達の市場です。
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■71種類もある果物酢

ワインのようにも見えますが…「ヴァス・イスト・ダス(これは何ですか)?」 これは、すべてオーストリアの新鮮な果物から作ったお酢。オーストリアは今、健康ブームでお酢が大人気。いろんな味を試して買っていくそうです。リンゴ、プラムなど71種類、食べ方によってどれが合うのかアドバイスしてくれます(250cc10ユーロ=約1,540円から)。健康食品といえば、よくつけあわせでみる食べ物、ザウアークラウト(原義は「すっぱいキャベツ」)もありました。キャベツを塩と酢で1週間以上漬けたもので、250gのザウアークラウトのビタミンCは、オレンジ1kg以上で、5種類のビタミンも入っているとのこと。みんな味見をして気に入れば、すぐに買っていきます。ザウアークラウト1kg3ユーロ(約462円)から。

1kmも続く巨大市場。なかにはレストランスペースも広がっています。そのなかに、お寿司屋さんを発見。ウィーンでは今、日本食ブームが来ているそうです。でも、見ているとちょっと不思議な光景も。醤油つけるというよりは、醤油に浸すという感じ。え、まだつけるんですか。はっきり言って、つけ過ぎです! 雰囲気のある店を発見。チーズ屋さんです。美味しそうなチーズが並んでいます。オーストリアをはじめ、イタリア、フランス、スイスなど世界18ヵ国のチーズを扱っているそうです。チーズも世界中の味が味わえます。「オーストリアはチーズが大好き。お客の80%は週に1、2回来る常連だよ。皆、毎日食べているものだからチーズはオーストリアで愛されている食品のひとつだよ」と店のご主人。やはり地元産のチーズが一番美味しそうに見えます。チーズを作っているところを見たければフラウエンタールに行くとよいとのことで、見学することにしました。明日が楽しみです。
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■ウィーンではちょっとした日本食ブーム

ナッシュマルクトは、ここまでがひとつの大きなブロック。道を挟んで、先にはまた別の顔があります。市場を歩いて気づいたのは、こちらのブロックには、トルコのひとが多いこと。ケバブの店も大繁盛です。オーストリアにはトルコ移民が多く、街の中でも地元の人とうまく共存しています。ナッシュマルクトのこちらのブロックは、値段も安く、地元の人や移民の人たちに人気の市場です。

一口サイズの野菜コロッケ、なかはホクホクです(1個0.4ユーロ=約61円)。袋詰めされ並んでいるのは、これ全部スパイス。「オーストリアの人もスパイスを多く使うよ」と店のご主人。世界各地を旅行するひとが増え、現地で食べて気に入ったスパイスをここに買いに来るのだそうです。スパイス1袋1.2ユーロ(184円)から。種類の多さもナッシュルマルクの人気のひとつ。庶民の売場の方にも観光客の姿は絶えません。
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■ウィンナー・シュニッツェルは、薄くきった仔牛のカツレツ

美味しそうな食べ物を見ていたら、お腹が空いてきました。市場の裏通りに人気のレストランがあると聞いて行ってみました。レストラン「グラシス・バイスル」。お客さんも多いし、雰囲気のいいお店です。本場にきたら、やっぱりその味を食べなきゃ。伝統料理「ウィンナー・シュニッツェル」は、薄くきった仔牛のカツレツ。作り方は他と大差はありませんが、使うパン粉が違います。きめ細かいパン粉が独特の食感を引き出すのです。美味しそうな音がしてきました。こんがり色目が付いてきたらもう食べ頃。本場のウィンナー・シュニッツェルです。サクサクの衣、なかは薄くジューシーな肉。旅の思い出の味がまた一品増えました(14.5ユーロ=約2,233円)。
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■モーツァルトハウス・ウィーン

午後はこの国が生んだ、あの天才作曲家の人生に触れてみましょう。ヴォルフガング=アマデウス・モーツァルト(1756年〜1791年)。彼がかつて住んでいた十数軒のうちのひとつが、ドームガッセ5番地に現存します。1784年から3年間住んでいた建物を、生誕250周年の2006年にリニューアルしたモーツァルトハウス・ウィーン。妻コンスタンツェの肖像画、オペラ「フィガロの結婚」の楽譜、親友ヨーゼフ・ハイドンに捧げた楽譜、父レオポルトからの手紙などが展示されています。入場料9ユーロ(約1,390円)
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■フラツ・ドイチェマンさん(41歳)

ウィーンから150kmも離れているため、前日のうちに移動していたホテルを朝出発。ウィーンとはまた違う、のどかな田舎の景色が広がっています。やっぱりこういう場所じゃないと、チーズ作りはできないよな。ウィーンからはるか南。着いたのは、シュタイヤマルク州フラウエンタール村。人口は約3,000人、牧畜や農業で生計を立てる人がほとんどの村です。この村に、ウィーンでもその名を知られる、有名なドイチェマン農場はありました。この農場には、ここでしか作れない幻のチーズがあるそうです。それを作るチーズ職人の方と待ち合わせ。フラツ・ドイチェマンさん(41歳)と奥さんのゲアトルードさん(42歳)が出迎えてくれました。

フラツさんはオーストリアでも珍しい有機チーズの職人。17頭いる牛は有機のエサで大切に育てあげ、毎日チーズのもとになるミルクを絞っています。フラツさんのチーズ作りをさっそく見せていただきました。この農場を大評判にしたのは、フラツさんが考案したチーズ・ファスルケーゼ。その作り方は、まずは絞りたてのミルクを分離させます。その分離に使うのも、子牛の胃袋から取れるエキス。これも有機へのこだわりです。200リットルのミルクは適温で温めながら、およそ50分ほどかき混ぜます。

「こだわりは有機で育てた牛の生のミルクを使って6種類のチーズを作ること。そこがよそのチーズ農家とは違うところだ」とフラツさん。農家に生まれ育ったフラツさんが、チーズ作りをはじめたのは1993年のこと。2004年に結婚。自分で勉強しながら作った、オリジナルのチーズが評判になり、数々の賞を受賞。今ではオーストリアでも名前が知られるチーズ職人になりました。そして、フラツさんの成功を誰よりも喜んだのはフラツさんのお母さんです。

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■チーズ保存室

かき混ぜていたミルクの中に白い塊が。少しずつチーズが出来てきました。固まったチーズと乳精を分けます。この白い塊がおいしいチーズに変身します。集めたチーズの上に重石を置き、水抜き。ここから水を徹底的に抜く作業がはじまります。重石をはずすと、白い塊が豆腐のようになっていました。その塊を今度は缶のなかへ。一缶におよそ3sずつ詰められていきます。これをさらに圧縮します。水分が残ったままだと、味も落ちるし、長持ちもしないんだそうです。この水抜きが、チーズの質を大きく左右するとのことです。

24時間圧縮したあと、今度は室温12℃で塩水に一日浸します。これにはどんな理由があるかというと、12℃の温度だと乳酸菌の活動が止まり、その代わりに塩の味がチーズに入るのだそうです。これも保存仮定のひとつ。塩漬けにされたあと、チーズは小屋の隣にある保存室へと運ばれます。なかには、いろんな色のチーズがいっぱいです。湿度が高いこの部屋にチーズは寝かされ、熟成させられます。週に4〜6回、塩水とチーズ菌を塗ることにより、目差す味へと変わっていくのです。

最初は白いチーズも数週間でキレイなオレンジ色に。それ以上熟成させると、まわりは黒くなります。熟成の度合いでそれぞれ味が違います。熟成期間の短いものは柔らかくバターのような味、6ヶ月間熟成させたものはしっかりとしてスパイシーで食べ応えがあるチーズになるそうです。朝が早いチーズ作りの作業、ひと仕事終えると、昼食は農場で働く従業員と一緒に、みんなで食べます。この日のメニューは、魚のフライ、スープ、サラダ、パン。毎日奥さんが手料理をふるまっているそうです。従業員のなかには、フラツさんにチーズ作りを教えてもらいに来ている人もいました。

フラツさんにとってチーズとはどういうものなんだろう、この問いかけにこう答えてくれました。「チーズは毎日いろいろな種類が食べられる、楽しいものだといいたいよ。毎日食べている人でも私たちのチーズを食べればいつも食べているものとは違うと感じてくれるはずだよ」と。ウィーンの街で出会った市場「ナッシュマルクト」。世界中から観光客が集まる人気の市場は国際色豊か。そして、本物の味が味わえる市場でした。モーツァルトの曲を聴くたびにこの市場で出会ったひとの笑顔を思い出す、そんな市場になりそうです。
余白用

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