番組内容
ポーランド  ザコパネ「グバウフカ市場」
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■クラクフの中央広場。旧市庁舎の塔などが残っている

バルト海と7つの国に囲まれた、中央ヨーロッパの国ポーランド共和国。緑溢れる大平原広がる国です。南部には国内で最も高いリシ山、南部の国境近くにはカルパート山脈(タトラ山脈を含む)やリーゼンゲビルゲ山があるズデーテン山地があります。首都はワルシャワ。日本からの直行便はなく、フランクフルト、パリ、ロンドン、コペンハーゲンなどの都市経由となります(乗り継ぎ時間を含め15時間半から18時間半)。通貨はズウォティで、1ズウォティは約39円(2006.8現在)

クラクフはポーランドでも最も歴史ある都市のひとつであり、17世紀初頭にワルシャワに遷都されるまではポーランド王国の首都でした。現在は、ポーランドの工業、文化の主要な中心地となっています。この街は、ヨーロッパの歴史に翻弄されてきたこの国のなかでも奇跡的に戦禍を逃れ、中世の姿を残しています。世界遺産に登録されている旧市街には、歴史的な建造物が多く残っています。なかでも旧王宮であるヴァヴェル城や聖マリア教会などは有名で、観光客にも人気があります。また、この街は近郊への小旅行の出発点でもあり、アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所、ヴィエリチカ岩塩採掘場、ザコパネと呼ばれる山地リゾートなどへ足を運ぶことができます。
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■高原の町、ザコパネ

めざす市場は、このクラクフの街から南へおよそ100キロ、国境近くの町ザコパネにありました。ザコパネの人口は約3万人。ポーランド屈指の避暑地、保養地で、夏はトレッキング、冬はウインタースポーツを楽しむ人たちが大勢訪れます。1929年、1939年、1962年と三度、ノルディックスキー世界選手権の開催地となりました。この、タトラ山脈の先はスロヴァキア。平原が多いポーランドのなかでは珍しい、高原の町です。
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■オシチペックと呼ばれる、羊乳のスモークチーズ

そんなザコパネの中心地にあるのが、グバウフカ市場。この町を訪れたひとなら誰でも必ず立ち寄るという観光市場。ザコパネ特有の民芸品や食料品、お土産品の店が軒を連ね、旅行者の目を楽しませてくれます。1997年設立。店舗数は約400、1日平均約4,000人が訪れます。登山列車の駅も近く、遠足でやってきた子供たちの姿もたくさん見かけました。まずは、この市場をぶらり歩いてみることにしました。

市場を歩いてみて一番気になったのは、チーズ売り場。ザコパネでしか手に入らない幻のチーズが、ここで売っていると聞きました。どれがその珍しいチーズなんだろう?この不思議な形のチーズかな。聞いてみましょう。ツォ・ト・イェスト(これは何ですか)? ザコパネの伝統的なチーズ、オシチペックと呼ばれる、羊乳で作るスモークチーズとのこと。「このチーズは健康的なもので、私たちが子供のころにはお腹の調子が悪いときに、母親にこのチーズを食べさせられたのよ。そして元気になったわ」とお店の方が説明してくれました。

市場のなかでも、この一画は特に大人気。みんな必ず味見をして、気に入った味のものを見つけると、幾つも買いこんでいきます。羊乳スモークチーズ1ズウォティ(約39円)から。このスモークチーズの作り方を見たいのなら、チーズ作り職人のジェプカ・アンジェイさんのところに行けばいいわ。そこで羊やチーズの作り方が見られるわよ…ということで、明日はスモークチーズの作り方が見られる。楽しみです。
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■ザコパネを訪れたら必ず立ち寄るというグバウフカ市場

ポーランドは牧畜が盛んな国。羊の製品は、チーズだけではないようです。羊の皮も並んでいました。「私たちが育てている羊よ。柔らかくてすごく気持ちがいいのよ。だから使い方もいろいろとあるのよ。この上に寝ればリラックスできるから健康にもいいと思うわ」とお店の方。夏の時期でも、今年の冬用に結構売れるらしい。さわり心地も抜群。大きさにもよりますが、値段の安いものは45ズウォティ(約1,791円)。この地方にやってくる観光客は、スモークチーズとこれを買っていくそうです。セーターも暖かそうです。冬だったら飛びついてるなぁ。羊毛セーター28ズウォティ(約1,114円)。

観光客の姿も徐々に増えてきました。民芸品が並べてあるお店の方を見てみましょう。木製の器が並ぶ、キッチン用品の店のようです。鼻を近づけてみると、温かみある木の香りがします。「木の製品には味わいがあるわ。こういったもののなかに食材を入れておけば腐らないわ。プラスチックのものよりも長持ちするのよ」とのこと。15ズウォティ(約597円)。通りの向こうには、少ないけど農作物の店も並んでいました。どれも新鮮で美味しそうですが、ここで採れたものなのかな? 疑問をぶつけたところ、答えは「ザコパネは寒いから野菜の栽培には適してないよ。これらは他の地方のものだよ」とのことでした。サクランボ1kg6ズウォティ(約238円)。ラズベリー1カップ2.5ズウォティ(約99円)。ポーランドの夏の旬の味は、このサクランボ。他にも山の果物が食べ頃らしく、いろんな種類が並んでいました。

この瓶詰めの物は何だろう。よく見てみると、瓶に詰められているのは酢漬けのキノコでした。お店の方によれば「フライパンで炒めるといいわ。酢に漬けてあるのでキノコに酸味が効いて美味しいのよ。お酒のおつまみにもいいわよ」とのこと。キノコの酢漬け15ズウォティ(約597円)から。陶器の店もあります。山の多いザコパネは、良質の土も採れます。よくみると不思議な形のものもあります。それぞれの陶器にはそれぞれの味わいがあり、どれも自分を主張しているようです。15ズウォティ(約597円)から、と値段もお手頃。ひとつ買って行こうかな。
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■レストラン「カルチュマ・レディコウカ」でランチ

お昼にはまだちょっと早いけど、お腹がすいてきたので早めのランチに。市場のはずれに美味しいレストランがあると聞いて行ってみました。ザコパネの郷土料理を食べさせてくれる店「カルチュマ・レディコウカ」です。ランチタイム前なのに、もう先客もいました。おすすめはジャガイモのパンケーキ。おろしたジャガイモに、小麦粉、卵、ミルクを混ぜ、パンケーキの生地に。あとは、フライパンで焼くだけ。パンケーキだけで足りるかなと思っていたのは、要らない心配でした。焼いたパンケーキの上にかけたのは、グヤーシュと呼ばれるシチュー。パプリカ、牛肉、玉ネギを煮込んだシチューです。シチューの上にチーズをトッピング。シチューの味もしっかり、ボリュームもたっぷり。付け合せもあって、ホント満腹。個人的は、このキャベツのスープが、酸味があって美味しかった。値段は29ズウォティ(約1,154円)。
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■コウノトリの研究をしている國見真由美さんは大学3年生

午後はクラクフに戻って、ひとと会うことに。この街で、コウノトリの研究をしている日本人女性がいるそうです。どんな方なのか、お目にかかるのが楽しみです。國見真由美さん(30歳)。兵庫県出身。地元の観光連盟に勤め、コウノトリの生態に興味を持ち、奨学金を受け留学。現在クラクフの大学3年生です。ここポーランドでも日本と同じく、赤ちゃんを運ぶ鳥と言われているコウノトリ。観察を続けるうちに、自分の子供のように愛着が湧いてきたといいます。人工的に作られた電柱の上に巣はあります。クラクフに約19ヵ所の巣がありますがが、今年ペアが成立しているのは7ヵ所だそうです。「飛んでる姿がかっこいい。自分もコウノトリのように飛びたい。日本よりクラクフの方が自分には馴染んでいる。ポーランドの自然が好き。ここで生きていきたい」という國見さんでした。
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■ジェプカ・アンジェイさんの山小屋

翌朝は早朝5時に出発。昨日、市場で見たスモークチーズの作り方を見せてもらうために、再びザコパネへ。早起きしたおかげで、ポーランドの朝の、幻想的な景色も見ることができました。南に進むにつれ、少しずつ山間の風景に。ザコパネ郊外のグオドフカ村で、チーズ作りの職人ジェプカ・アンジェイさん(40歳)と待ち合わせです。この山小屋がそうです。「ヂェン・ドブルィ(おはようございます)」とジェプカさんがお出迎えです。山小屋でチーズを作るのがザコパネの伝統。さっそくチーズ作りを見学。まずは、温めたミルクを布で濾して不純物を取り除きます。次に分離粉を水で薄め、ミルクの中へ。これでチーズとバターミルクに分けます。かき混ぜて1時間置いておきます。

ジェプカさんは、子供の頃からチーズ作りに憧れ、小学校を卒業と同時に職人のもとに弟子入り。24歳の時に独立。地元ではグラレと呼ばれるチーズ職人になって、30年近い時を過ごしてきました。グラレ仲間からも一目置かれる存在だそうです。1991年に結婚、子供は4人。「衛生面には気をつけているよ。悪いものを作れば山小屋の評判が悪くなるよ。そうなったら誰も買ってくれなくなる。だからキレイで質のよいものを作ることを考えているよ」とジェプカさん。
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■山小屋の内部

チーズが固まるまで、およそ1時間。その間は、別の仕事をする為に帰宅します。そろそろ1時間が経過、布をはずしてみると、ヨーグルトのように固まっています。ジェプカさんは、チーズの樽のなかに手を入れ、なにやら力を入れて押しはじめました。チーズの塊を押して水分を抜き、分離を促しているのだそうです。分離したチーズは、すくって器に詰めていきます。ここまでほとんどが、小屋の中でのひとり作業。器一杯、これでおよそ1キロの塊に。しかし、これで完成ではありません。チーズの塊を再び絞って、水分を抜いていきます。さらに針を刺して水分を抜き取ります。こうして十分に水分を抜いておかないとすぐ腐ってしまうんだそうです。

チーズが少しずつ形になってきました。水分を絞りきったら、木枠をはめてチーズに模様をつけます。鮮やかな幾何学的な模様が浮き出てました。この模様には特別な意味はなく、昔からの伝統でこうやって作っているんだそうです。出来上がったチーズは塩水に1日漬け、そして翌日、山小屋の壁に並べ、窯の煙で燻します。2、3日もすれば、市場で見た、あの美味しそうなスモークの色になるのです。味は絶品。風味がよくて舌触りも上品。産地のザコパネ周辺でしか手に入らない、特別なチーズ。その味を求め、わざわざよその土地から直接山小屋まで足を運ぶ人も多いそうです。

「品質のよいチーズを作るには山小屋で作業をするのが一番だよ。なぜなら静かでリラックスできるからね。家では雑音が多くて集中できないよ。だから山小屋で仕事をするんだ。味はそれぞれの山小屋によって違うよ。他のところのものは割れたり塩気が強いなど質の悪いものがあるけど、私のところはそれはないよ」とジェプカさん。「こういった山小屋で買った方が新鮮なものが手にはいるよ。美味だし、ここまで来る甲斐があるよ」とお客さんにも大評判です。
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■家族揃って、クッキーとご自慢のチーズで軽めのランチ

早朝からの仕事を終え、10時にはひと休み。山小屋から5分のジェプカさんの自宅へ連れて行ってもらって驚きました。なんという豪邸! チーズ作りってそんなに儲かるのかと思ったら、違った。実は、ジェプカさんは冬の時期はスキー客相手にペンションも経営しているのだそうです。それにしても立派なお家です。家族は妻ヤニナさん(36歳)、次男スタシくん(3歳)、長男アンジェイくん(6歳)、次女アニャさん(8歳)。早めのランチをいただくことに。軽めにクッキーと、そしてやはり自慢のチーズ。昼はいつもこんな感じだと、ジュプカさんは言っていました。ジェプカさんの夢は、子供たちに少しずつチーズ作りを教え、ゆくゆくは山小屋を継いでくれることです。

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■500頭いる羊の乳絞り

お昼過ぎからは、牧場での仕事が待っています。明日のチーズ作りに使う乳を集めるため、およそ500頭いる羊の乳絞りです。1頭、1頭丁寧に絞っていきます。未来のチーズ作りを担う小さな職人たちもお手伝いです。約100リットル羊乳を絞ります。「私は仕事が大好きだよ。仕事がないと生きていけないよ」とジュプカさん。

ポーランド最南端のリゾート地で出会った、グバウフカ市場。観光客が集まる人気の市場は、この市場でしか手に入れられない品も発見できる、宝探し気分が味わえる市場でした。旅の味わいを深めてくれる、そんな高原の市場と出会えました。
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