番組内容
ポーランド  ワルシャワ「イムブラモフスキ市場」
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■中央広場に建つ聖マリア教会

バルト海と7つの国に囲まれた、中央ヨーロッパの国ポーランド共和国。緑溢れる大平原広がる国です。国土面積は日本の約5分の4。バルト海に面した北西部は温帯気候、東部や南部の山岳地帯では、冬季の間は河川が凍結する冷帯気候となります。過去に何度も地図の上から姿を消し、その度に不死鳥のように蘇ってきたポーランドは、まさに“激動の歴史”を経てきたといっても過言ではないでしょう。第二次世界大戦で戦場となり、クラクフやザモシチなどわずかな例外を除いて主な都市はほとんど破壊されました。しかし、戦後、国民のねばり強い努力により復元され、中世さながらの美しい街並みが再び見られるところが多い。首都はワルシャワ。日本からの直行便はなく、フランクフルト、パリ、ロンドン、コペンハーゲンなどの都市経由となります(乗り継ぎ時間を含め15時間半から18時間半)。ポーランドの通貨はズウォティで、1ズウォティはおよそ39円です(2006年8月現在)。

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■歴代のポーランド王が住んだヴァヴェル城

11世紀から17世紀の600年間、首都として栄えたポーランド第二の都市クラクフ。ポーランド南部にある都市で、ヴィスワ川の上流に位置し、市街地はヴァヴェル城を中心としてヴィスワの両岸に広がっています。ポーランドの工業、文化の主要な中心地でもあります。ヨーロッパの歴史に翻弄されてきたこの国のなかで、奇跡的に戦禍を逃れ、往時の姿を残す街です。ゴシック建築の美しい姿を誇る聖マリア教会をはじめ、歴史的建造物が並び、旧市街は1978年に世界遺産に登録、毎年補修が施され、その美しさが大切に維持されています。ポーランドの人口の90%以上がカトリック。ローマ法王ヨハネ・パウロ2世(1920〜2005)は、法王就任まではクラクフの司教でした。
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■フロリアンスカ門

クラクフの街を囲んでいた城壁は19世紀にあらかた取り壊され、一部を残すのみです。中世時代に城壁の門として建てられフロリアンスカ門、今日まで当時の姿のまま残されています。その門から旧市街へとのびるフロリアンスカ通りにはショップが立ち並び、観光客の姿が絶えません。旧市街から南へ少し足を伸ばせば、かつて歴代のポーランド王が住んだ、ヴァヴェル城が壮麗な姿を現します。遠い歴史の風が、この街には吹いているのです。
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■イムブラモフスキ市場

めざした市場は、このクラクフの郊外にありました。イムブラモフスキ市場。1926年設立、80年の歴史をもつこの市場。設備の悪さなどが指摘され、何度も廃止の危機を迎えましたが、地元住民の後押しもあり存続、1999年に屋根が設置され現在の姿に。今では街の顔になっているそうです。店舗数が300にものぼる巨大市場は、売場の80%が農作物の店。生産者が直接売りにくるシステムなので、採れたばかりの新鮮な野菜が安い値段で並ぶと評判の市場です。

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■新鮮な野菜が安い値段で並ぶ

確かに店頭に並ぶ野菜は種類も多いし、どれもみずみずしい。市場を訪れたのは7月、農作物が一番揃っている時期なんだそうです。「温室栽培ではなく、畑で太陽を浴びて育っているから美味しいよ」という店のひとの言葉通り、トマトの美味しそうなこと。今流行りのフルーツトマトではなく、昔懐かしい味の濃いトマトです。トマト1kgが4.5ズウォティ(約179円)から。「カリウムが多く含まれているのよ。今日のように暑いときは汗でカリウムが不足するけど、トマトを食べればカリウムを補ってくれるわ。農薬を使ってないから健康にもよいのよ」と、店のひと。ジャガイモも掘り起こしたばかりのもの。1kgが1ズウォティ(約39円)から。まだ、土の匂いがしている。ポーランドのジャガイモが一番と、店のひとが自慢するだけのことはある。どの店を覗いても、野菜の立派さにビックリ。ズッキーニも実に大きい。これで幾らなんだろう?「イレ・ト・コシュトゥイェ(いくらですか)?」 1本3ウォティ(約119円)だとのこと。安さもビッグサイズです。

さわやかな香りがしているのは、サクランボ。1kgが8ズウォティ(約1,318円)から。ピカピカに輝いていて美味しそう。ポーランド自慢の果物です。ん、これは何の果物だろう? ちょっと、聞いてみようかな。「ツォ・ト・イェスト(これはなんですか)?」 日本では、高級スーパーなどでしか見られないグーズベリー(スグリ)。酸味があってジャムにすると美味しい。1kgが3ズウォティ(約119円)。野菜売り場のなかに、ちょっと珍しいものを発見。蜜のロウソクです。寝る15分くらい前にこのロウソクに火をつけてその空気を吸うとリラックスしてよく眠れるとのこと。体によさそうなアロマ効果がありそうだ。値段は0.5ズウォティから30ズウォティ(約19円から1,194円)。
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■キャベツの漬け物を売るボジェナさん

市場には、4つの大きな通りがあります。日用品の店が並ぶ通りをぶらりと流してみましょう。通りを歩いていて目に付いたのが琥珀。バルト海で採れるポーランド名産の宝石。「不死身」「永遠」のシンボルといわれています。たまに琥珀のなかに虫が入っているものがあり、高いけどとても人気だとのこと。琥珀のなかに生物がいるなんて、まるでジュラシックパークの世界。SF好きな女の子へのお土産にはちょうどいいかもしれません。値段は30ズウォティ(約1,194円)から。店は建物の外にまで続いています。ここで一番目立っていたのは、花屋さん。でもよく見るとどれも造花。墓地に持って行ったり、家のバルコニーに飾ったり、いろいろだそうです。造花でも結構人気なんですね。造花0.5ズウォティ(約19円)から。

市場の外の通りで、やたらお客が集まる店を見つけました。覗いてみたら、ここ、サラダのお店かな?と思えるほど、山盛りにされたキャベツの山です。一体これは何だろう。「ツォ・ト・イェスト(これはなんですか)?」 ポーランド伝統のカプスタ・キショーナ(キャベツの漬け物)だと教えてくれたのは、店のオーナーであるボジェナ・ドゥバチさん(38歳)。家族でカプスタ・キショーナを売っている、人気の店です。カプスタ・キショーナは、ポーランドの食卓には欠かせないもので、いつでも食べられてビタミンCが豊富、健康にもいいとのこと。確かに飛ぶように売れていき、次から次へと補充されていきます。1kgが4 ズウォティ(約159円)から。「作り方を見たければ私の家に来てください」ということで、明日、見学させてもらうことに決まった。
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■ポーランド風トンカツ

お腹がすいたと思ったら、もう1時。市場の脇に食堂がありました。今日はここでランチとしましょう。市場の人御用達の店「ガズダ・バー」のおすすめは、ポーランド風のトンカツ。牧畜の国の肉料理、期待しましょう。作り方は、日本とそんなに変わりがありません。小麦粉と卵、そしてパン粉をつけて、あとはフライパンの油の中へ。注文してから、10分もしないうちに出来上がりました。さすが、時間に追われて仕事をしている市場のひとたちの食堂です。付け合せは、ジャガイモと、ここにもキャベツの漬け物。カツレツはジューシー。スタミナ満点で二重丸です。値段は13ズウォティ(約517円)。
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■岩塩彫刻「坑夫がキンガ姫に指輪を渡す場面」

午後はクラクフの街から、ちょっと足を伸ばして。世界遺産に登録されているヴィエリチカ岩塩採掘場を見学しました。約900年間岩塩が採掘され、1978年に世界文化遺産に登録されました。入場料は46ズウォティ(約1,830円)。地下327m、全長約250km(一般公開は135mまで)。坑夫が掘り出した部屋数は2,040。その昔、ハンガリー王女キンガ姫はポーランドの王と婚約。当時大国であったポーランドには塩坑がなかったが、姫が強く念じて泉に投げた指輪がヴィエリチカに現れ、そこから塩があふれた、と伝説は伝えています。塩坑夫たちはいくつかの穴を地下礼拝堂にしましたが、そのなかで最も大きく美しいのが塩坑誕生の伝説に登場するキンガ姫に捧げられた聖キンガ礼拝堂です。天井、壁、床、祭壇すべて岩塩で作られています。もちろん、このキンガ姫の像も岩塩でできています。
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■アンナ、エヴァ、ボシェナ、ヤロスワク

翌朝、市場で見たキャベツの漬物の作り方を見学に出発。今日もいい天気。さわやかな風が吹き、心地よい一日になりそうです。街を抜けると、すぐに一面なだらかな草原が広がります。ポーランドは平原の国だと実感。キャベツの漬物作りの家族が住むのは、クラクフ郊外のポドレシナボラ村。この白い家がボジェナさんの家。ボシェナさん(38歳)、長女エヴァさん(18歳)、次女アンナさん(17歳)、ボシェナさんの兄ヤロスワク〔44歳〕が出迎えてくれました。家のなかは、清潔感溢れる感じです。

まずは畑を案内してもらいました。家から15分ほど歩くと、3ヘクタールのキャベツ畑が広がっていました。この畑で5種類9万株のキャベツを育てているのです。「私たちが栽培するキャベツには自信があるわ。健康的でビタミンCが豊富でおいしいわよ。このキャベツのおかげで私たちも生活ができるので、大事に育てているわ」とボジェナさん。続けて、「ここはキャベツ栽培には適しているのよ。土地がよくキャベツの成長も早いのよ。それとキャベツが病気になることもないわ。ここは街から離れているから空気が新鮮よ。だからキャベツにもいいのよ」と。あと2週間で本格的な収穫期に入るとのことです。この日は全員で畑の雑草取りと、キャベツの育ち具合をチェックです。

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■味の決め手は、足でよく踏むこと

十分育ったキャベツを、自宅の庭に運んで、漬物作りの作業に入ります。まずは、キャベツを手際よくぶつ切りに。かたい芯は切り取ります。次に適当な大きさになったキャベツを、機械に入れて千切りにしていきます。ある程度の量になったら、樽の中へ。そして、塩を振るのですが、実はこの塩が味の決め手。昨日見た、世界遺産・ヴィエリチカ岩塩採掘場の塩です。「ヴィエリチカの塩はミネラルが豊富、粒が細かくてキャベツによく合うのよ。この塩じゃないとダメだ」と、ボジェナさんは教えてくれました。このあとが驚き。樽の中へひとが足を入れました! 長女エヴァさんが楽しそうにキャベツを踏んでいますが、これ、いいの? 「足で踏むことで塩がキャベツに馴染むのよ。それと発酵が促進されるのよ。心を込めて踏むことが大事よ。お客さんに美味しく食べてもらうことだけを考えて踏んでいるわ。それにとても気持ちがいいわ。マッサージにもなるし」と、エヴァさん。美味しさの秘密はこの作り方にあったんだ。

カプスタ・キショーナ作りは、ボジェナさんが子供の頃から身につけたもの。1987年に結婚しましたが、2004年に離婚。カプスタ・キショーナ作りの技が、今になって身を助けているのです。何度も塩を加えながら、足でよく踏む。「自慢になるが、私たちのものより美味しいものはないと思うわ。というのも、お客さんもそう言ってくれるし、その証拠に何度も買いに来る常連が多いのよ」とボジェナさん。キャベツと塩が馴染んだら、このまま2週間ほど保存庫で寝かします。すると、発酵が進み、酸味と塩加減が絶妙なキャベツの漬物、カプスタ・キショーナが出来上がるのです。

仕事の手を休め、ランチの時間に。伝統料理ビゴスを作っていただきました。ここでも使うのはカプスタ・キショーナ。ソーセージや豚肉と一緒にして、あとは時間をかけ煮込めば出来上がり。ポーランドの家庭の味です。他のメニューもキャベツづくし。キャベツのスープに、ロールキャベツ。同じキャベツを使っても、こんなにいろんな味が味わえるものですね。近くに住む親戚を集め、みんなで食事。男性はボジェナさんのお兄さんだけ。ポーランドは女系家族なんですね。

「家族全員でキャベツの漬け物を作っているわ。キャベツを栽培し、漬け物を市場で売る。そうやって家族全員で仕事をすることで家族の絆が深まるわ。皆、楽しく仲よく仕事しているのよ。全員で作った漬け物は市場でも人気で、外国の人にも美味しく食べてもらっているのよ。夢は大きいわね。今、栽培しているキャベツよりもさらに品質のよいものを作りたいわ。そして、世界中のひとたちに私たちが作るものを食べてもらいたいわ、それが夢よ」とボジェナさん。

ポーランド第二の都市、クラクフで出会ったイムブラモフスキ市場。ここは住民の願いで存続が決まった、地域のひとのための市場。店に並ぶ野菜は、ただ新鮮なだけでなく、畑で大切に育てた人たちの自信と誇りが輝いていました。生産者と客が一緒になって盛り立てる、幸せな市場に出会えました。
余白用

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