番組内容
ポーランド  ワルシャワ「ラジミン市場」
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■ワルシャワ旧市街広場

ポーランド共和国は、北にはバルト海が広がり、西でドイツ、南でチェコとスロヴァキア、東でウクライナ、ベラルーシ、リトアニアと接しており、北東ではロシア(カリーニングラード州)とも国境を接しています。人口の97%がポーランド人です。かつては多民族国家でしたが、第二次世界大戦後、ヤルタ会談密約に基づいて国土は地理的に大きく西に移動、現在のような単一民族国家となりました。国民の95%がローマ・カトリック。日本からの直行便はなく、フランクフルト、パリ、ロンドン、コペンハーゲンなどの都市経由となります(乗り継ぎ時間を含め15時間半から18時間半)。ポーランドの通貨はズウォティで、1ズウォティはおよそ39円です(2006年8月現在)。

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■ワルシャワ蜂起記念碑

ポーランド最大の街、ワルシャワ(約164万人)。中央ヨーロッパでも重要な役割を果たす文化都市で、旧市街は世界遺産に指定されています。1596年にクラクフから遷都され、1611年に正式に首都となったこの街は、「北のパリ」として発展を遂げてきました。きれいな街並みは、往時の面影を残しているかのように見えますが、旧市街は第二次世界大戦でその80%が破壊されました。現在の旧市街は、戦前と変わらぬ状態に復元されたものです。単なる復元ではなく、壁の傷やヒビに至るまで、資料や証言を元に緻密に作り直したのです。

街を代表するモニュメントが、ワルシャワ蜂起記念碑。1944年、ドイツ軍の占領に対して市民が蜂起して戦った様子を題材にしており、その45周年を記念して建てられました。どことなく表情が重苦しいのは、結局は鎮圧された、歴史的悲劇を描いているからです。歴史の複雑さを表すもうひとつの建物が、文化科学宮殿です。街のどこからでも見える建物ですが、国土を奪ったソ連のスターリンからの贈り物として建てられたため、市民からはあまり愛されてはいないようです。逆に深く愛されているのは、”ピアノの詩人”ショパン。聖十字架教会には、ショパンの心臓が安置されています。
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■ラジミン市場

このワルシャワの都心部から離れた郊外に、長い歴史を持つ市場があります。それが、ラジミン市場。週に2回、水曜日と土曜日に青空の下で開催される総合市場です。農業王国らしく、農作物が中心。朝の7時、市場はもうピークを迎えています。安くて新鮮、そんな市場の基本が備わったこの市場には、都心からも人々が押し寄せるのです。商品は山積み、それをまとめ買いする人々がほとんどです。

さかのぼれば15世紀、ワルシャワの街に向かう商人たちが、街に入る手前のここでも商売をしたのが、この市場のはじまりだと言います。その歴史は今でも続いています。敷地の70%を占める農作物、人々の目当てはこれです。並んでいるのは見慣れた物が多いのですが、買いに来る人たちは一味違うと言います。

市場には、有機栽培の生産者の作物が多いのです。そんななかで、気になるものを見つけました。トマトのようで-すが、私達が知っているものより4倍近い大きさ。ちょっとと聞いてみましょう。ツォ・ト・イェスト(これは何ですか)? バイソン(野牛)の心臓というトマトだそうで、中を見せてくれました。ほとんどが果肉で、種が見当たりません。しかも、甘くフルーティ。6ズウォティ(約238円)の高級品だそうです。

キュウリは太く、短く、真っ直ぐ。これはちょっと長め。種類によって味は違うけど、細長いものは甘くて種が少なくてみずみずしいとのこと。ブツブツもないんですね。細かく切ってサワークリームをかけたり、いろいろなスパイスと混ぜても美味しいとのこと。また、漬け物にもするそうです。色鮮やかなラディッシュ、これはそのまま、それとも漬物でしょうか。キュウリは1kgが1.5ズウォティ(約59円)から、ラディッシュひと束1ズウォティ(約39円)。年季の入った奥様方が、品物を手に取り、じっくり確かめながら選びます。よい商品しか売れません。
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■店頭のサクランボ

夏らしい商品を探してみます。ヒマワリがありました。種をほぐして量り売り。食べ方は万国共通。噛んで種の中身を食べ、皮を吐き出す。ヒマワリの種1kgが1ズウォティ(約39円)。ポーランドの夏の名物だとか。卵屋さんに山と積まれた卵。自然に近い環境へのこだわりを、店の人々は口にします。色も味もよいのですが、でも一番大事なのは鶏が自然な餌を食べて産んだ卵ということだそうです。鶏卵5個で3ズウォティ(約119円)から。

再び市場のなかの夏を探しに、売り場を歩きます。そして見つけたのが、日差しの下で赤々と自己主張するサクランボ。夏の一番人気。サクランボ1kgが4ズウォティ(約159円)から。種類もいろいろあるようで、色の濃いものは果肉が多く値も高く、色の薄いものはやわらかくて甘いのだそうです。今年の夏はちょっと暑くて、例年はもう少し涼しいから色ももっと鮮やかとのこと。真夏のサクランボ畑って、どんな景色なんだろう?見てみたいなぁと思っていたら、「サクランボが見たければ、グラカルバリア郡オストウロビク村に行くとよいよ」とお店のオーナー。小さな赤い実のふるさとを、明日、訪ねることにしました。

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■馬を売るのはこの市場の伝統

ふと目をやると、トラックが横付けされています。何を運んできたのか見てみると、カチカチのパンの山。ツォ・ト・イェスト(これは何ですか)? 鶏や犬など、動物の餌だそうです。店で売れ残った2日前のパン。こんなものまで売っているんですね。この、パン専門の業者さんがいることも驚きです。ちなみにおいくら(イレ・ト・コシュトゥイエ)? 5ズウォティ(約199円)との答え。そして市場の片隅で、もうひとつ見つけたのが、馬…これも売っているのでしょうか? 馬を売るのはこの市場の伝統で、かつては家畜市場として栄えていたといいます。今でもその伝統は続いているのです。ちなみにお値段は6,000ズウォティ(約238,800円)。市場は、敷地の外の道路にも広がっています。
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■ピエロギのランチセット(約557円)

お昼になると、もう市場は店じまいです。ワルシャワ市内に戻って、名物ランチを探すことに。見つけたのはレストラン「ピエロガルニャ」。ここはポーランドの餃子、ピエロギ専門店。材料は、ひき肉とチーズを中心にキャベツやパセリなどの野菜が加えられます。皮は餃子と同じ小麦粉で作られます。やや肉厚に型抜きされ、具を包みながら、皮を伸ばして形にします。大きさは、日本の餃子より一回り小さめです。これを水餃子風にスープで茹であげ、このお店ではその後に軽く焼きあげます。シンプルな味付けで、皮はモチモチっとした食感。ランチセットが14ズウォティ(約557円)。ピエロギに漬物と、クセはありますが、体によさそうな冷たい赤カブのスープがつきます。
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■ショパンの心臓が埋め込まれた柱

食事を終えた午後2時。ワルシャワで最も愛されている音楽家、フレデリック・フランソワ・ショパンゆかりの教会、聖十字架教会に訪ねてみました。ショパンは祖国ポーランドに戻ることなくパリで生涯を終えましたが、遺言により、姉の手で心臓だけはワルシャワに戻されたのです。本堂を入って左手前の石柱にショパンの心臓が安置されています。石柱には、「あなたの宝の場所にあなたの心がある(マタイ伝)」と刻まれています。第二次世界大戦中に教会建物は破壊され、ショパンの心臓も持ち出されますが、戦後教会は修復され、ショパンの心臓も1945年彼の命日にあたる10月17日に元に戻されました。入場無料。

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■スワボミルさんと長男セバスチャンさん

ワルシャワの都心を離れたのは翌日午前9時。夏のポーランドの人気者、小さな赤いサクランボの生まれ育つ場所へと向かいます。車で30分も走ったでしょうか、もう窓を流れる景色は、農村風景へと変わっていきます。そして1時間。オストウロビク村に到着しました。サクランボの有名な生産地です。この家のようですね。まずは朝の挨拶。ヂェン・ドブルイ(おはようございます)。ようこそ、アンナとスワボミル果樹園へ!と出迎えてくれたのはスワボミル・ウチャクさん(51歳)。家族は、妻アンナ(50歳)、長女イザベラさん(23歳)、長男セバスチャンさん(27歳)、次男バベルさん(21歳)です。

この家の窓から見える向かいに、サクランボを実らせた木々が見えます。畑は12ヘクタールあり、ここでサクランボとリンゴを栽培しています。今が旬で4週間前から収穫がはじまったばかりで、あと7週間は続きます。今の頃のサクランボが一番キレイで大きくて甘い。実は、赤く色づきつやつや。つい、つまんで食べたくなります。今、実っているのはボズナンスカという品種だそうです。この品種は実が少し固いが、長持ちがするそうです。サクランボは、ひとつずつ手で摘みます。小さな実を傷つけないように、丁寧に収穫していくのです。息子さんも手伝います。こうして、一本一本収穫していきます。

この辺りは100年前から果樹園が多く、伝統的に果樹栽培をしているそうです。「皆、親から受け継いでいるよ。土地、気候、そして水がきれいだからね。あまり考えてはいないけれど伝統だから誇りには思っているよ」と語るスワボミルさんは、この農園の三代目です。1979年に結婚し子供は3人、誰かがこの農園を、四代目として継ぐはずです。地元にしっかりと根を張り、組合長も任されています。15分で、約15キロが収穫されました。どれも傷ひとつありません。
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■余分な枝を切り落とす

サクランボを収穫しながら、秋に収穫するリンゴの手入れもしなければなりません。もう収穫の時期が迫っています。スワボミルさんは、枝をテキパキと切り落としていきます。余分な枝を切ることでリンゴに影ができず、太陽がリンゴに当たります。それによって、実が大きく、色つやがよい、美味しいリンゴが育つんだそうです。傷ついたリンゴも間引いていきます。

収穫したリンゴを保存する倉庫のなかにはまだ前のシーズンのリンゴが残っていました。中心が熟し、トロリと蜜のような甘みをたたえています。新しいリンゴで保存庫が一杯になる前に、熟したリンゴを機械で選別し出荷します。「この仕事はお客のことを一番に考えないとダメだよ。キレイで質のよいものを提供するようにしないとね。一番嬉しいことはここに買いに来たお客が再び買いに来てくれることだよ。それは、自分が作ったリンゴが美味しいものだったという証拠にもなるよ」とスワボミルさん。

お昼になると、そのリンゴを使って、長女イザベラさんがジャムを作ってくれました。皮をむいてざく切りにして、砂糖をかけて、かき混ぜながら火を通します。熱で中の甘みが増し、表面に砂糖がしみこんで溶け出したら、頃合です。このジャムを使って、アップルパイも作ってくれました。そしてクランベリーをのせた焼きりんご。りんごのスウィーツと、サラダにパンで昼食です。「私たちが収穫したリンゴを使えば体によいジャムができるのよ。自然に育ててるものだから、体に悪い成分ははいっていないわ」とイザベラさん。青空の下に運んで、家族でランチを楽しみます。親子三代続いてきた習慣です。
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■ランチを楽しむ、スワボミルさん一家

「家族は常に近くにいて助け支えてくれるよ。家族のためにと思えばもっともっとがんばれる気がするよ。私のリンゴはヨーロッパの国々には出荷しているよ。できれば日本のひとにも食べて欲しいよ」とスワボミルさん。

甘いリンゴの香りがすると、今も、ワルシャワの農園を思い出します。繰り返される季節のなかで、豊かに実る赤い実が、夏の訪れと、夏の終わりを告げるポーランドでのこと。そして、旅先で知り合った、作りたてのリンゴジャムのように暖かく、ほのかに甘い家族のことを。
余白用

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