番組内容
ラオス  ルアンパバン「プーシー市場」
番組画像01
■世界遺産の町、ルアンパバン

北西のミャンマーと中華人民共和国、東のベトナム、南のカンボジア、西のタイの5ヵ国と国境を接する東南アジアの内陸国、ラオス。歴史に登場するのは14世紀中頃、ラーンサーン王国がルアンパバンに王都を定めた頃からです。16 世紀には絶頂期を迎えますが、18世紀に入り王国は3つに分裂。1893年にフランス領下となり、三国はラオ族のラオを複数形にしてラオスと呼ばれるようになります。その後、1975年に王制を廃止、現在のラオス人民共和国が樹立されました。広さは日本の本州ほど。首都はビエンチャン。日本からの直行便はなく、タイ・バンコク経由で約7時間30分かかります。通貨はキープで、1円がおよそ86キープ。紙幣のみで、硬貨は使われていません(2006年5月現在)。
番組画像02
■列を成す托鉢僧

ラオスのなかでも、今、一番観光客に人気なのが、緑豊かな町ルアンパバン(人口は約40万人)。ラーンサーン王国の王都で、王国分裂後もルアンパバン王国の1975年まで首都として機能してきた重要な町でした。歴史的にも価値がある美しい建造物が多く、現在でも北部の経済の中心として機能しています。1995年には町全体が世界遺産(文化遺産)に登録されました。

見所はたくさんあるのですが、まず見ておきたいのは、ワット・シェントーン。ラオスには数多くの寺院がありますが、ワット・シェントーンの流れるような曲線の屋根が見せる独特のフォルムはとても優雅で、ラオスで最も美しいとも称されるほどです。メインストリートには歴史的家屋が並び、まるで時が止まったかのような町並みを見せています。しかし、老朽化が激しくても、勝手に建て直すことができないという、世界遺産ならではの悩みも抱えています。仏教の国ラオスでは、各地で托鉢の光景を見かけますが、数百人の僧侶が早朝6時から列を成すというのは、この町だけ。本来、厳かで静かなはずのひと時が、観光名所となり、今ではツアーバスも立ち寄るほどです。
番組画像03
■アンパバンで一番大きいプーシー市場

ルアンパバンのメインストリートの奥に、この町で一番大きい総合市場、「プーシー市場」があります。2001年に市内にあった他の市場と合併しオープン。さらに2003年、もうひとつの市場も移転し、現在の形となりました。現在、約400の店舗が営業。建物の外ではルアンパバン自慢の新鮮な農作物が並び、建物内では肉、魚、惣菜、衣類、雑貨などが所狭しと並びます。この町最大の市場らしく、早朝から多くの地元住民で賑わいます。午前中は屋外の野菜売り場が、地元の人々で賑わうそうです。

軒先に大量に並ぶ農作物は、ほとんどが地元のものです。内陸に位置するルアンパバンは、野菜の育ちがいいんですね。なかでも、ラオス料理に欠かせない「ハーブ」は新鮮だし、種類も量も豊富です。そんなハーブとあわせて、もうひとつ、やたらと目にするのが、フランスパン(1本1,000キープ=約11円)。フランスの植民地だった頃、フランス人に作り方を教わり、駐留するフランス軍隊のために作っていたのが、今ではラオス人の朝食になっています。ちょっとしたカルチャーショックではありますが、タイやベトナムの街角に麺の屋台が並ぶのと同じ感覚。ラオスのフランスパン、どこで食べても、とっても美味しいんです。具材を挟んだフランスパンが、やすいもので5,000キープ(約58円)から売られていました。

市場には、まだまだラオスらしいものがたくさん並んでいます。まず気になったのが、葉っぱで包まれた生ソーセージ。豚の挽肉にニンニクとモチ米の粉を混ぜて包んで発酵させたものです。値段は5,000キープ(約58円)から10,000キープ(約116円)、大きいのは20,000キープ(約232円)。さらに奥へ進むと、人気の売り場がありました。魚売場です。ラオスは内陸の国ですが、母なるメコン川があります。新鮮なメコンの恵みが並びます。「メコン川は大きくて、魚の餌が豊富よ。人間が餌を与えなくても自然に大きく育つわ」」というお店のひとの言葉通り、どの魚も大きくて、一匹で家族全員お腹一杯になれそうです。
番組画像04
■カオキャップ(キャッサバ芋のお菓子)

そのお隣には肉売り場がありました。内臓をはじめ、あらゆる部位があますところなく軒先に並んでいます。なんでも、内臓は体によいそうで、例えばレバーを食べれば人間の肝臓にもよく、小腸も同じとのこと。牛肉の内臓1kgが10,000キープ(約116円)から。肉売り場を抜けたところで、なんだかとてもよい匂いがしてきました。そそられる、香ばしい匂いの焼き魚です(塩焼き5,000キープ=約58円から)。そして、スペアリブも。市場の真ん中で、網焼きをしています(スペアリブ1切れ3,000キープ=約34円)。これらは、調理する時間のない勤め人が昼時に買いに来るそうです。おかずがあれば、もちろん主食の「もち米」も売っていました(1kg,6,000キープ=約69円)。ラオスでは「カオニャオ」と呼ばれ、毎日の食卓には欠かせない品です。

ここでも、気になるものを見つけました。。それがルアンパバンの名物、カオキャップ(キャッサバ芋のお菓子)。芋の皮を剥いてから蒸して機械で潰して形を整え、天日干ししたものだそうです。このままではなく、食べる直前に油でサッと揚げてからいただくそうです。家に行けば作り方を見せるというお言葉に甘えて、明日作業場を見学させていただくことにしました。楽しみです!
番組画像05
■ラオスの民族衣装「シン」と呼ばれるスカート

続いて、建物内の、衣類・雑貨売り場へ向かいます。ざっと見て回ったなかで、一番数が多いのが布を扱っているお店です。ラオスの民族衣装で「シン」と呼ばれるスカートは、とっても軽くて涼しいとか。シルクは冠婚葬祭など特別なときに。綿は普段着に、それぞれ使い分けているそうです。観光客に人気のお土産です。シルクが120,000キープ(約1,395円)から、綿は5,000キープ(約58円)から。
番組画像06
■オッラーム(肉と野菜の煮込み)とカオニャオ

市場散策に夢中になって、気が付いたら、もうお昼時。町の中心地に戻り、ルアンパバンの郷土料理がいただけるという専門レストラン「パークファイミーサ」へと向かいました。店内はとっても落ち着いた雰囲気です。伝統料理「オッラーム」の材料は、ちょっと弾力がありそうな水牛の肉、香草、キクラゲ、それに、まるで木の枝のようなサッカン。とにかく珍しい食材で、どんな料理ができるのかドキドキします。

調理を見せてくれたのは、元宮廷料理人で、ルアンパバン料理の第一人者だそうです。そう聞くと期待が高まります。鍋で煮込んでいたナスを取り出してすり鉢で潰し、また鍋に戻しました。それからしばらく煮込んで、完成です。オッラームとは、いわゆる「肉と野菜の煮込み」。たっぷりのハーブと煮込んでいるため、かなり独特の香りと酸味がします。上級者向けの、絶妙な味わいを楽しめる一皿でした。30,000キープ(約348円)。
番組画像07
■クアンシーの滝、下流では遊泳も可能

お腹も一杯になったし、天気もいいし、ルアンパバンの観光名所、クアンシーの滝に行くことにしました。滝はルアンパバンから30kmほど南下したところにありますが、寄り道をして動物を見に行くことにしました。ここにはオーストラリアの団体の援助でツキノワグマ12頭、そしてイギリスの団体の援助でトラ1頭が保護されています。動物の保護所から歩いて約10分、クアンシーの滝に到着です。この滝はメコン川の支流のひとつで、滝壷は深い緑色の水をたたえており、約30m の高さから流れ落ちる水の美しさが評判の滝。下流では遊泳も可能です。
番組画像08
■キャッサバ芋の皮を剥くく

翌朝、プーシー市場で見た伝統のお菓子、カオキャップ作りを見学しに出かけました。メコンの川岸を、車で走ること10分。のどかな住宅地が広がるポンファン村に到着。出迎えてくれたのは、市場で声をかけてくれた店主のケーク・パンタウォンさん(33歳)と、その妹で菓子職人のブワワン・パンタウォンさん(33歳)です。雑貨店を営むご自宅その奥に、カオキャップ作りの作業場がありました。

カオキャップの材料は、ルアンパバン郊外で取れたキャッサバ芋。ブワワンさんのもとで親戚や友人、10人の女性が働いていました。まず丁寧に皮をむ剥き、水洗いで汚れを落とします。これを大鍋で30分ほど蒸すのですが、その際、バナナの葉を落し蓋に使います。この東南アジアでよく使われるバナナの葉、実は殺菌作用や、消臭の効果があるそうです。もともと農業をやっていたご両親が、カオキャップ作りをはじめたのがきっかけで、それを受け継いだといいます。現在、長男トンゲッサナー(11ヵ月)の育児のかたわら、自宅でできるお菓子作りを続けているのです。「お客様に認められることが大切だと思うわ。そのために美味しいものを作ること、そのことを考えているわ」とブワワンさん。
番組画像09
■半日から1日、天日干し

芋が蒸しあがりました。ホクホクで、ほのかに甘い香りが立ち込めます。蒸し上がった芋を割ると、細長い筋のようなものがなかから出てきます。これが芋の芯。ひとつひとつが手作業で取り除きます。そして、専用の機械でキャッサバ芋を潰します。この段階で黒砂糖の蜜、そしてココナッツと黒ゴマを混ぜたものを練りこみ、味を調えていきます。これら、味付けに使う蜜やココナッツの量を、他の職人よりもふんだんに使っているのがブワワンさんの自慢です。とってもマイルドな香りがします。まろやかで、甘味がしっかりとあるのが、ブワワン流。

あとは、この生地を伸ばすだけ。カタチを整え、木の機械に挟みながら、薄く延ばしていきます。さらに別々の機械を使い、もっと薄く、大きく、そして生地が破れないよう、丁寧に竹の板に並べます。みなさん、本当によく働いていらっしゃいます。まさに、テキパキ!という言葉がぴったり。仕上げは天日干し。照りつける日差しをいっぱいに浴びて、生地が馴染み、しっかりと乾燥するまで半日から1日。1日に2,000枚ほど作るそうです。揚げたものは、とっても甘くて、焼き芋のような感じです。
番組画像10

■ブワワンさん(左)

午前中の作業が終わったところで、ランチタイム。家にいる家族全員で食卓を囲みます。さすがに、これだけの人数だと、テーブルの上に並ぶ料理も圧巻。毎日交替で、ささっと料理を作り、いただいているそうです。それにしても、あんなに働いた後なのに、みんなとっても楽しそう。笑顔が、絶え間なく弾ける、すてきな団欒のひと時です。「このカオキャップをさらによいものにするために、もっと努力していくわ。そして、もっと多くの人たちにしってもらい、食べてもらいわ」とブワワンさん。

世界遺産の町にある、プーシー市場。ここは、どんな食材よりも、日用品よりも、女性たちが主役です。よく働き、よく食べ、よく笑う。今、この時間を大切に過ごす。その積み重ねが、幸せに繋がるのかな…って、教えられた気がします。
余白用

このページのTOPへ