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ラオス ルアンパバン「タールアメー市場」
![]() ■アンパバンのシンボルが、ワット・シェントーン ラオス人民民主共和中国は、中国、ミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナムの5ヵ国と国境を接する内陸国。国土面積は日本の本州ほどの広さです。原生林の中を大きく蛇行しながら、メコン川がこの国を1,900kmに渡って流れています。日本との時差はマイナス2時間(日本が正午の時、午前10時)。首都はビエンチャン。日本からの直行便はなく、タイ・バンコク経由で約7時間30分かかります。通貨はキープ。1円がおよそ86キープ。硬貨は使われていません(2006年5月現在)。 ![]() ■モザイク画で描かれた「生命の樹」 ラオス北部にある山間の街、ルアンパバン。人口は約40万人。この街はランサン王国(1353-1975)の王都で、古くはムアン・スワ、シェントーン と呼ばれていました。カーン川とメコン川の合流地点に位置し、その美しいラオスらしい街並みと、歴史的・文化的遺跡保護の観点から、1995年には世界遺産に指定されました。世界遺産となったルアンパバンのシンボルが、1560年に建立されたワット・シェントーン。ルアンパバン様式と呼ばれる独特の曲線を持つ屋根は地面近くまで広がり、ラオス寺院のなかで最も美しいといわれています。本堂裏にはモザイク画で描かれた「生命の樹」。美しさと共に不思議な力を放っています。 街のメインストリートは、王様の名がつけられたシーサワンウォン通り。かつて王都だった趣を残す建物。しかし、世界遺産に指定されたため、建物老朽化が激しくても容易には作り直せないで困っているのが実情。世界遺産を維持していくのもたいへんです。この国の風物詩ともいえるのが、托鉢の光景。なかでも、ルアンパバンの托鉢は特に有名で、長い托鉢僧の行列はラオス国内でもここでしかお目にかかれません。早朝6時から数百人の僧侶が練り歩き、地元の人や観光客が次々と前に立ち現れる托鉢僧に喜捨します。 ![]() ■タールアメー市場 ここ、ルアンパバンのなかでも最も古い歴史を持つ市場が「タールアメー市場」。1955年に市場ができ、現在、約130の店舗が営業しています。街の中心地の路地約200mに店が並び、営業時間は朝5時から午後2時頃まで。朝市らしく農作物だけでなく、作りたての惣菜なども並び、朝食を摂りに来るひとも多い。また、市場は街の名物でもあり、多くの観光客の姿も見かけます。 店々を覗いていて、気になったものが…。ちょっと聞いてみましょう。アンニー・メーン・ニャン(これはなんですか)。メコン川で採れる海苔を、天日干しにしたものだそうです。油でさっと揚げるのがコツ。香ばしく、ビールのつまみには最高。水牛の皮入りの辛味噌をつけるのがラオス流です。ルアンパバン名物のこのカイペーン、いくらだろう? タオダイ(いくらですか)。1袋30,000キープ(約348円)。メコン川は大きいので、天然の魚が多く、餌も豊富で魚も大きく育つ。店のひとが薦めてくれたのは、コイに似た魚。スープの具にして食べると美味しいそうだ(1kg35,000キープ=約406円)。 ![]() ■ラオスの伝統的なコーヒー 午前8時。すっかり晴れ渡り、今日も暑くなりそうです。市場にも、観光客の姿が増えはじめました。野菜の店に並んでいるのは全部ルアンパバンで採れたものばかり。なかでも目立つのが香草類。パクチーなど、いろんな種類の香草が並べてあります。お隣のタイがスパイスの国なら、ラオスはハーブの国。香草や青ネギはラオス料理には欠かせないものですが、あの香りが苦手な人は辛いでしょうね。豆腐も売っています(一丁1,000キープ=約11円)。炒めたり、油で揚げたり、また日本と同じく醤油で食べたりもするそうです。サッカーンと呼ばれる木、これも食材です。サッカーンは、ルアンパバンの名物料理オッラームには欠かせないもの。スープに入れると柔らかくなり、香りがよく、辛味が出て、食感は筍に似ているそうです(15,000キープ=約174円)。 いい香りを漂わせているのはお惣菜の店。並んでいる商品はどれもおいしそうです。焼き卵は1個2,000キープ(約23円)。これは中味を出してから調味料と混ぜ、殻に戻して蒸してから焼いたものです。剥くと、中は溶き卵が固まった色。割っても黄身がないのがちょっと不思議です。味付けはちょっと甘め。ここはなかなか珍しいものに多く出会える市場です。この香りと色は、伝統的なラオスのコーヒーです。作り方は、まずコップにたっぷり練乳を。そこへこれもたっぷりのクリープ、あとはコーヒーを注ぎ込むだけ。一杯3,000キープ(約34円)でコーヒーブレイク。練乳を混ぜても色が変わらないほどの濃さ。でも、味はちょっとワーン・ポート(甘過ぎ)。 コーヒーのほかにも伝統の飲み物があるわよ!、そういっておばさんが見せてくれたのが、ラオラーオ(米焼酎)。ラオスでも一番美味しいと評判のお酒だそうです。サーンハイ村へ行けば、焼酎を作っているところが見られるとのこと。明日、サーンハイ村に行くことにしました。 ![]() ■カオピィヤックセン(ラオス風うどん)、味付けはお好みで 朝早くから歩いたから、お腹も減ってきました。市場の近くに美味しい食堂(カオピィヤックセン・セントン)があると聞いて行ってみることに。うどんがオススメと聞いたんだけどな…あ、食べてる食べてる! あれ、日本語の看板も出ています。お客で来た誰かに書いてもらったんですね。カオピィヤックセンとは、ラオス風うどんのこと。うどんだけに調理方法はいたってシンプル。麺を軽く湯通しして、そこへ煮凝りと、焦がしニンニクを乗せたのがベース。あとはネギや肉を乗せ、塩コショウ、魚醤などで自分で味付けします。ラオスの米で作ったうどんは、日本のうどんに比べると柔らかめ。おこしをトッピングして食べるのが人気のスタイル。あっさりしていて、結構病みつきになる味です(6,000キープ=約69円)。 ![]() ■バークウー洞窟の仏像 午後1時、メコン川を渉ってバークウー洞窟へ向かいます。シェントーン船着き場からボートで出発。船のチャーター代は300,000キープ(約3,488円)。16世紀に発見されたのが第一の洞窟「タムティン」。4,000体以上の仏像が安置され、さながら日本の「五百羅漢」のような雰囲気。そして、15分ほど階段をのぼると、第二の洞窟「タムブン」に。こちらは、1865-1867年にフランス人ダニエル・フランシスによって発見されました。洞窟への入場料は10,000キープ(約116円)。仏教国ラオスの魂に触れることができました。 ![]() ■ブンタチックさんと、妻チャンシーさん 翌日も晴れ。今日も暑い一日になりそうです。市場で教えてもらった焼酎作りを見学にサーンハイ村へ出発です。メーンストリートを抜ければ、すぐに田舎道。国道を車で走ること40分ほど。かなり山の中へ入ってきたなと思ったら目的の村に着きました。ここが焼酎作りで有名なサーンハイ村。人口は567人。ルアンパバン人気と共に、この村も今では観光地のひとつになっています。焼酎作りを見せてくれるウンフアン・ブンタチックさん(45歳)のお宅に到着。サバイディー(こんにちは)と、ブンタチックさんと奥さんのチャンシーさん(42歳)がお出迎えです。まずは自宅のなかを案内されました。一階はリビング、二階は寝室に使われるだけの空間。ラオスのどの家でもそれは同じ。 焼酎づくりの作業場は、メコン川のほとり。自宅のすぐ向かいに作業場はありました。焼酎作りに使うのは、地元産のもち米。この米を水に浸すことからはじまります。焼き畑農業で作った米は粒が大きくて、普通の米よりも焼酎が多く作れるそうです。水に浸し終えたお米は、2時間ほど大きなドラム缶に入れて蒸し揚げます。この作り方はサーンハイ村の伝統だよ。この辺はメコン川の水が豊富だし、農業も盛んで田畑も多いよ。焼き畑が中心だし、酵母の原料もあって環境が整っているよ。そう話すウンフアンさんは、もともとは小学校の先生。22歳で結婚、現在子供は5人。子供ができて家族が増え、収入を増やすために焼酎作りをはじめました。 ![]() ■蒸しあげたもち米を篭に移し変えるのは長男の仕事 2時間かけて蒸しあげたもち米。それを篭に移し変えるのは長男アコムさん(22歳)の仕事。このお米を水洗いするのは次女バタナーさん(16歳)の担当。洗わないと出来上がりが少ししょっぱいそうです。お米をアルコールに変える酵母も、地元のもち米と、チャモンというこの土地で取れる葉で作ったもの。酵母をすり潰すのは、三男スリヤーさん(14歳)の役目。とにかく家族みんなが手伝って作業を進めます。砕いた酵母はかめの中へ、そして、洗い終えたもち米にもかける。あとは、かめの中にお米を入れ、そのまま2週間ほど置いておき、自然発酵するのを待つのです。「家族全員で働くということは家族の絆がふかまることだよ。皆で働いてご飯が食べられ、生活ができる。すばらしいことだよ」ブンタチックさん。 2週間の自然発酵だけでは、アルコール度数は10度くらいだそうです。ここからが蒸留作業。まずは、お米を蒸す時にも使ったドラム缶に、自然発酵したお米をあけます。ドラム缶の途中に付けた木を伝わってお酒が流れます。ドラム缶のふたを閉め、そこに冷却水を溜めます。水蒸気が蓋になった冷却器で水滴になり、とり口を伝って出てくる仕組みです。5分もするといい香りと共に、焼酎の一番絞りが出てきました。アルコール分が強く、80度近くあるそうです。サーンハイ村では、およそ村の半数が、酒作りに従事しています。一杯いただきましたが、口に含むとふくよかな香りが広がる美味しい焼酎でした。観光客への直売も行います。 ![]() ■酵母をすり潰すのは、三男の役目 作業がひと段落してランチに。家族揃って食べるこの日のメニューは、ラオスの家庭料理。魚の干物に、市場でみた川海苔。皆で仕事をして、皆で食事をします。ウンファンさんはこの時間を大事にしています。「お昼からお酒は飲まないんですよね?」と聞いたら、「とっておきの一杯を出してやろう」。そういって、バケツから出したのは、なんとサソリ! なかでもイキのいいのをビンの中へ。そのビンのなかへ焼酎を。アルコールで死んだ後、焼酎を出し、サソリの形を整えると、木の蔓を丸め、これもビンの中へ。もう一度焼酎を注ぎいれれば、これでサソリ酒の完成(40,000キープ=約465円)。サソリの毒と木の蔓のエキスで飲むと体によいそうで、体の痛み、特に腰痛に効くそうです。 ![]() ■サソリ酒 「今よりも皿によい焼酎を造りたいよ。海外の人たちにもこのサーンハイ村の焼酎を知ってもらいたいし、飲んでもらいたいよ。そのためにももっと努力してよいものを作るよ」とブンタチックさんは夢を語ってくれました。ウンフアンさんの作る焼酎は、地元でも美味しいと人気のもの。世界遺産の村で出会ったタールアメー市場。王国時代の遺産を誇り、大切に守り続ける人々。観光客が増え、生活は少しずつ変わっても、自分たちが大事にしてきた伝統の技と、のんびり生きるスタイルを、これからも守っていって欲しい! 市場を巡りながらそんなことをひとり願いました。 |