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チリ サンティアゴ「中央市場」
![]() ■首都サンティアゴ、3,000メートル級の山々が眼前に 南米の太陽が注ぐ国、チリ共和国。長さ4,329km、幅は90〜380kmと南北に細長い国です。アンデス山脈が国の南北を貫き、平野は中央部の太平洋岸にわずかしかない山岳国。観光は、地中海性気候の温暖な中部太平洋岸地域、東部の山岳地域、南部の氷河地域、太平洋の孤島イースターにわけられます。南半球のため、季節は日本とは逆になります。日本からチリへの直行便はなく、北米のロスアンゼルス、ダラス、ニューヨークなどを経由して行くことになります。所要時間は経由地での乗り継ぎ時間を含めて30時間前後。通貨はチリ・ペソで、100ペソ=約23円(2006.4現在)。 ![]() ■1558年、この街に最初に建てられた大聖堂 首都はサンティアゴ。富士山級の3,000メートルを超える山々がすぐ目の前に。南北に細長くひとつの国とは思えない、さまざまな景色と文化を持つこの国をひとつにまとめる街です。この街の近代的なビルや歴史を刻む建物の間には、緑や広場を数多く見かけます。大都市なのに街にいても心安らぐのは、たぶんそのせいでしょう。この街を見物するには、乗り合いバスを使うのがおすすすめ。サンティアゴで、今もっともオシャレな街といわれているのが、プロビデンシア地区。ショッピングやカップルのデートコースになっています。 ![]() ■中央市場 旧市街を訪れる人は必ず立ち寄るといわれるほど、観光スポットにもなっている有名なのが「中央市場」。1872年に創設され、現在の店舗数は246。この市場の人気の秘密は魚介類。さまざまな海産物が客のお目当て。建物を囲むように魚介売り場が広がっています。日本でもお馴染みの魚介類が並ぶが、その大きさには驚かされます。日本人観光客も多く訪れるようで、「うに」「さかな」「おいしい」「いきのいい」など日本語で話し掛けてくる店員も多い。 ![]() ■とにかく種類が豊富 魚介類が並ぶ売場をぶらついてみると、いろいろと気になるものがみつかりました。見ていると、殻の中から何かが顔を出しています。これは何だろう?スペイン語で聞いてみました。ケ・エス・エスト?(これはなんですか)。ピコロコ(大フジツボ)との返事。20分ほど塩水で茹でてもいいし、生でも食べられるのよとおばちゃんが殻を割ってくれました。フジツボの身、はじめてお目にかかりました。食べるのためらっていたら、おじさんが見本を見せてくれました。まるで牡蠣のような味。幾らなんだろう。クアント・サレ?(いくらですか)。1kg800ペソ=約184円だそうです。治安もよく、経済も豊かなチリは、他の南米の国と比べれば、物価はちょっと高めです。 おや、これは、ひょっとしてホヤ?つかんだら潮を吹きました、新鮮な証拠です(1kg1,000ペソ=約230円から)。ホヤは海の精力剤なんだよって、ニヤッと笑って話してくれました。お店の人はどの人もとにかく人懐っこい。みんなチリの魚を自慢して、次々と見せてくれます。ハマグリも朝獲れたばかりで新鮮そのもの(1kg5,000ペソ=約1,000円)。大きいアナゴを発見。こちらではコングリオというそうです(1kg2,200ペソ=約506円から)。ここまで大きいと、ちょっとグロテスクかも。揚げても、焼いても美味しいとのこと。物は試し。お昼はこの大アナゴを食べてみることにしました。 とにかく種類が豊富。ホタテは、パルメザンチーズをのせてオーブンで焼いたり、ニンニクとパセリをのせたりして食します。辛いソースをかけるも美味しいそうです。ホタテの次は、ウニとご対面。1kgあたり130円ほどで買えるなんて、夢みたいです。この色艶、たまらない!ウニはチリでも生でいただくそうです。たっぷりのウニにレモンをぎゅっと絞って食べるのがチリスタイル。チリの濃厚なウニの味は、一度食べたら忘れられません。ビタミンも豊富。観光客も地元の人も混在して買い物を楽しんでいるのが、この市場の特徴。そんな店のなかで、面白い人を見つけました。「こんにちは」「これ、さかな」「あさり、いきのいい」「すずき、おいしい!ばたーいため」「おおあなご、おいしい!ふらい」と知っている限りの日本語を披露してくれました。マルコ・アントニオさん!グラシアス(ありがとう)。 ![]() ■大アナゴの海鮮ホワイトソース掛けとフジツボ入り海鮮スープ 13時。そろそろお腹がすいてきました。市場のなかにある食堂へ行ってみることに。売場がぐるりと、とり囲むように建っているこの市場。建物の真ん中には大きなレストランが営業していました。フロアいっぱいに広がるお店、「ドンデ・アウグスト」です。200席以上の巨大レストラン、このレストラン目当てに市場を訪れる人も多いという人気の観光スポットです。 さっき、お店で見つけた大アナゴに挑戦しておかないと!あらためて見ても大きい。捌くだけでも一苦労、大変そうです。大きな切り身を豪快に油につけてて鉄板の上でソテーに。焼き上げた切り身の上にかけるのは、シーフードのホワイトソース。大アナゴの身は意外と淡白。シーフードの美味しいソースの味がジューシーに口の中に広がります。もう一品はこれまた市場で見かけたフジツボ。こちらも海のエキスがいっぱい。値段は少々高いが、チリの味をたっぷり実感できました。大アナゴの海鮮ホワイトソース掛けとフジツボ入り海鮮スープが8,460ペソ=約1,945円。 ![]() ■ラピスラズリのモアイ像 お腹もいっぱいになったところでレストランを出ると、果物と野菜を売る店が並んでいました。サンティアゴは年間300日以上晴の日が続くといわれていますが、アンデスの雪解け水で川の水は一年中豊富。農作物もいっぱい採れる国なのだそう。おや、これは何の実だろう?ケ・エス・エスト?(これはなんですか)トゥナというサボテンの実だそうです。サボテンって実がなるんですね(1kg480ペソ=約100円から)。ひとつ皮をむいてもらったら、なかはキウイのように小さな種がいっぱい。このまま食べるそうです。味もキウイに似ています。興味があるならトゥナが採れるノビシアード郡に行ってみるといいよとのことで、明日このトゥナがなる姿を見にいくことにしました。 市場のなかには、観光客目当てのみやげ物のお店も。藍色の石、ラピスラズリをみつけました。この石は世界でもチリとアフガニスタンでしか採れないのそうです。確か12月の誕生石だったはず。チリの特産品です。ピアスが3,500から15,000ペソ(約805円から3,450円)。こちらのモアイ像なんて珍しくて、お土産に喜ばれるかもしれません。 ![]() ■手前が内藤武男(56歳)さん この街に暮らす日本人の方がいると聞き、この日の夕方、会うことに。どんな人なのか楽しみです。内藤武男(56歳)さんは山梨県出身、海外を放浪の後、ニューヨークで日本食の修行をしました。1988年にチリに移り住み、現在、セントロ地区の「レストラン・ハポン(日本人)」で板前をしています。日本人の料理人2人を含め従業員は16人。「チリは気候や風景がよいし、海産物も豊富。特にワインが美味しいよ」と内藤さん。お客の90%がチリ人、ヘルシー志向で醤油の味が好きなのだそうです。 内藤さんのお宅は高級住宅地ラス・コンデス地区にあります。1990年にチリ人女性ソニアさんと結婚、長男の雄太君(5歳)と長女の恵さん(13歳)の4人で暮らしています。「日本人らしくよく働く夫よ。雄太や恵や私のことを大切にしてくれるわ」とソニアさん(38歳)。内藤さんは「家族が第一。かつての日本がそうであったように、チリは今、勢いのある国。今さら日本には帰らない。チリに骨を埋めるつもりだ」と語ってくれました。 ![]() ■実が生ったノパルサボテン この日もサンチャゴは快晴。市場で教えてもらったサボテンフルーツ、トゥナの畑を見せてもらいに出かけます。サンティアゴの街を抜け郊外へ。平原のなかの高速道路を飛ばして、およそ1時間。ようやく、教えられたノビシアード郡ブダウエル地区に着きました。山すそに広がる広大な農地。その中に立つ小さなカワイイ家が。紹介されたホアン・アライヤさん(41歳)の家です。ホアンさんと奥さんのビクトリアさん(30歳)が出迎えてくれました。ブエノス・ディアス(こんにちは)。ホアンさんのお宅はこじんまりとしているが、きれいに片付けられていて気持ちのいい家です。このホアンさんの家の裏手に、市場で見たサボテンフルーツの畑は広がっていました。30ヘクタールの畑におよそ14,000株のトゥナが植えてあるといいます。 さすがに田舎に来ると、スモッグがひどいサンティアゴと違い、空気がきれいで気持ちがいい。トゥナ(ノパルサボテンの実)はチリだけでなく、ペルーでもよく食べられる特産品。ずっと昔から食べてきた地元の味です。収穫にもちょっとしたコツがあります。朝露がある時は棘があまり出ていない。だから午前中に収穫するのだそうです。棘がまだ柔らかいうちに、実をもいでいく。といっても、慣れないと手に棘が刺さって、ケガをするそうです。簡単そうに見えて実は結構危険な作業。ずっと昔からこの土地で暮らしてきた農家に生まれたホアンさん。子供の頃から畑の作業を手伝ってきました。いまは、このトゥナ畑の生産管理を任されており、経営者の期待も大きい。将来は自分の畑を持つことを夢見ているそうです。1992年に結婚、子供はひとり。「このトゥナの市場が拡大することを望むよ。そうすれば我々の生活もよくなるからね」とホアンさん。 ![]() ■作業中のホアンさん わずか数10分で、カゴいっぱいに。この畑だけで10数人が働いているそうですが、それぞれ毎日ひとり600kgほどのトゥナを収穫するといいます。もぎたてのトゥナ。皮をむくと甘い香りがただよい、なかもとってもジューシー。「この果物は糖尿病にいいんだよ。なかの種が当分の吸収を抑えてくれるんだ」とホアンさん。収穫したトゥナは、そのまま2時間ほど天日干しにします。陽にあたると棘が出てくるので、それをホウキで掃いて棘を取り除いてからから箱詰めします。 トゥナを干している間に、ホアンさんはランチを。今日のメニューは、奥さん自慢のカボチャベースの鶏煮込みスープ。この土地の家庭料理です。スープのなかにはライスが入っていて、リゾットのようなテイスト。デザートはもちろん、畑で採れたトゥナ。子供は学校ですから、お昼はいつも夫婦ふたりで食事をします。ホアンさんはこの時間が好きだと言います。「家族は一番大事だよ。毎日大切にしているよ」とホアンさん。奥さんのビクトリアさんは「子供の面倒もよく見てくれる。他に何も言うことのないよい主人よ」と。トゥナを毎日食べているから、家族全員、風邪もひかないそうです。やっぱり、自然の健康食はいいんですね。 ![]() ■ホウキで掃いて棘を取り除きます 食事が終わるとふたたび畑へ。干しておいたトゥナを一斉にホウキで掃きはじめます。こうすると、サボテンの棘がキレイにとれるというんだけど、本当かな?あ、ほんとに取れています。それにしても、キレイに棘が取れるもんです。棘がキレイにとれて、おいしそうに輝くサボテンフルーツ、トゥナ。この実が、明日市場に並べられるわけです。「チリのとてもよい果物だから、多くの人に知って貰いたい。健康的なものだからね」とホアンさん。 チリ、サンティアゴで出会った中央市場。観光客も大勢訪れる街の人気スポットは、この国の豊かさと、住む人たちのエネルギーに満ちた場所でした。毎日を笑顔で楽しく過ごす。そんな、人生で一番大事なことをあたりまえにしている人たちにたくさん出会えました。 |