番組内容
チリ  サンティアゴ「ロス・ドミニコス民芸品村市場」
番組画像01
■アルマス広場

南米南部、太平洋岸の国、チリ共和国。長さ4,329km、幅は90〜380kmと南北に細長い国です。国土面積は日本の約2倍、総人口は1,600万人。1818年にスペインから事実上の独立をしました。銅の埋蔵量、生産量ともに世界一であり、さらに金、銀、リチウムなどの鉱物資源が豊富。チリの農産物は既にトレーサビリティー(追跡可能性)のある商品だけではなく、口蹄疫ワクチン不接種清浄国、BSEが発生していない国として認定されています。日本からチリへの直行便はなく、北米のロスアンゼルス、ダラス、ニューヨークなどを経由して行くことになります。所要時間は経由地での乗り継ぎ時間を含めて30時間前後です。通貨はチリ・ペソで、100ペソ=約23円(2006.4現在)。
番組画像02
■国立博物館

北は赤道に、そして南は南極に近い、細長い国チリ。そのほぼ真ん中に位置するのが、首都サンティアゴ。年中温暖な気候で、アンデス山脈に囲まれた盆地のためほとんど雨が降りません。年間300日は晴天に恵まれています。そんな過ごしやすさもあいまって、人口全体の1/3、550万人の人々が暮らす、南米屈指の大都会です。街中には自然を感じる広場や公園があちこちに点在し、都会特有のあくせくした雰囲気ではなく、ゆったりとした時間が流れています。

点在しているといえば、このサンティアゴは、別名「博物館の街」と呼ばれるほど、数多くの博物館があります。メインストリートはオイギンス通り。街中の移動には、路線バスが便利、本数も多く、市民の足としてとても重宝がられています。流行発信地はアウマンダ通り。日本でいえば、銀座や表参道のような場所。歩行者天国のため、地元の若者で溢れています。
番組画像03
■ロス・ドミニコス民芸品村市場

サンティアゴ郊外にあるのが、1982年設立の「ロス・ドミニコス民芸品村市場」。店舗数は160。ここはチリの民芸品がすべて揃う、サンティアゴ最大のクラフトマーケットです。1982年、ビセット・フェレール教会の倉庫だった場所に設立されました。敷地内には田舎の古民家を再現した店舗が並び、まるでタイムスリップをしたような感覚に包まれます。森の木々の間に迷路のように小道が広がり、とても静かで都会の喧騒が嘘のようです。古き良きチリと出会えるというので、お客の9割は観光客。店のほとんどはアーティスト自身が出店し、工房も兼ねているので、作り手と会話しながら買い物ができます。

さっそく、面白い作品と出会いました。これ…なんだろう? スペイン語で聞いてみましょう。ケ・エス・エスト?(これはなんですか)。マッチ棒細工。確かに、よく見ると人形になっています。例えばスポーツの好きなひとにはスポーツ関連のものとか、プレゼントする相手にあわせていろんな品があります(300ペソ=約69円から)。一番簡単なものを作って見せてくれるということで、店の奥の工房で作業を見学。小さなカッターで、マッチ棒を細かく削っていきます。ほんの数ミリの世界…すばらしい技術です。わずか1分ほどで、チリの国花・コピウエが完成です。これらは観光客にも大人気。おじさん、グラシアス!(ありがとう)。
番組画像04
■小さなブタさん。よく見ると、なぜか三本足。

かわいい、小さなブタさんです。でも、よく見ると、なぜか三本足。これはポマイレというところの伝統的工芸品。この三本足の豚をプレゼントするということは、健康・お金・愛情をプレゼントすることになるのだそうで、親しい人へのお土産として、買っていく人が多いとのこと(750ペソ=約172円から)。続いてのお店は、壁一面に木彫りのお面がかけられています。南米各地の原住民の木彫りのお面です(10,000ペソ=約2,300円から)。「 世界のひとに作品を買ってもらうということは、アーティスト冥利に尽きるよ。作品を通して私自身も世界を旅をしていることだからね」とご主人。
番組画像05
■チリではトロンポといわれる、コマ

まだまだ、歩いていない路地がたくさんあります。とても色鮮やかなアートフレームが並んでいます。絵じゃなくて、砂!? 中に砂と水が入っていて、砂漠の起伏を表現しており、フレームを傾けるとその表情が変化していきます。チリの北に広がる、アタカマ砂漠をイメージしたものでしょうか? 値段は5,000ペソ=約1,150円。見慣れたものを発見しました。チリではトロンポといわれる、コマ。そして、エンボケという、けん玉。実演してもらいました。、なるほどぉ。お上手。少し形が違うようですが、やっぱりけん玉。これらは、先住民マプチェ族のおもちゃだそうです(2,500ペソ=約575円)。
番組画像06
■ラピスラズリの装飾品

市場のメイン広場にやってきました。このすぐ脇にあるお店のショーウィンドウに、チリならでは!というものを見つけました。藍色の石、ラピスラズリです。チリの北2,500km程の鉱山で採掘されたもので、チリとアフガニスタンが原産地として有名です。聖なる力を秘めた石として、古代から占いなどにも用いられてる、神秘的なパワーストーンのひとつです。気持ちをリラックスさせたり、健康を回復させる効果があるということで、病気のひとは部屋を青く塗ってこの石を飾ったりしたそうです。こちらのお店には、そんなラピスラズリの細工品がいっぱい。スプーンセットが8,000ペソ=約1,840円。ラピスラズリの原産国だけあって、観光客にも人気です。エクトル・セスペデスさん(53歳)から、作業工程をみせていただくというめったにない貴重なチャンスをいただきました。エクトルさん! アスタ・マニャーナ(また明日)。
番組画像07
■トウモロコシを使ったパステル・デ・チョクロ

市場の散策に夢中になって、気が付いたら、もうお昼時。広場にある、チリ料理のレストラン「アントゥリカン」へと向かいました。店内もテラスも、ほぼ満席状態。どうやら、安くて美味しいレストランのようです。パステル・デ・チョクロの作り方を見せてもらうことになりました。材料は牛肉、鶏肉、トウモロコシ、オリーブ、干しぶどう、そしてバジル。いろいろな食材を一度にとることができる料理のようです。トウモロコシは、そのままではなく、専用の機械ですりつぶして使います。材料を重ね合わせ、トウモロコシの生地で蓋をし、オープンで15分焼くと完成です。これが「パステル・デ・チョクロ」。パステルとは、ケーキという意味があるらしく、スプーンを入れた瞬間に、甘い甘い香が漂ってきます。しかし、デザートではなく、れっきとした食事です。ボリュームも満点! ご馳走さまでした(4,650ペソ=約1,070円)。
番組画像08
■マブチュ族の儀式で使われるトーテムポール(国立博物館)

食事を終え、次はチリ名物のひとつ、博物館を見ておくことにしました。チリのたどってきた歴史がわかる、国立歴史博物館です。裁判所だった建物を、1982年から博物館として使用しています。なかには、マブチュ族の儀式で使われるトーテムポール、チリ独立の英雄ベルナルド・オインギンスの肖像画、最初の紙幣、スペイン侵略時の絵画、1818年にチリ最初の紋章など、約7万点が提示されています。入場料は600ペソ=約138円。
番組画像09
■作業中のエクトル・セスペデスさん

翌朝。ロス・ドミニコス民芸品村市場で出会ったラピスラズリの職人、エクトルさんの工房へと向かいました。車でわずか10分ほど。サンチャゴの中心地ベジャビスタ地区に、工房を兼ねたお店がありました。「エマ宝石店」。エマとは、奥さん(50歳)の名前だったんですね。こちらの工房にはベテランの職人さんが6人いました。鉱山から掘り起こされたままの原石は青いけれど、まだまだ光り輝いてはいません。ここから、美しさを引き出すのが、まさに職人技なんです。石はそれぞれ硬さが異なるので、手の感触でそれを見極めてカットするのが大事だとのこと。32年前に家業の宝飾店を継ぎ、ラピスラズリを扱うようになったそうです。その後、エクトルさんが中心となってチリ政府に働きかけ、85年には、ラピスラズリが国の石として、正式に制定されました。12月の誕生石としても有名ですね。

エクトルさんは1977年にエマと結婚、3人のお子さんがいらっしゃいます。「この石はすばらしいよ。愛情をもたらすものだよ。もちろんお金だけどね。私は大好きだよ。本当に神様には感謝しているよ。チリでこの石が採れることは私にとっても幸運だよ」とエクトルさん。

ある程度小さくカットしたら、今度は完成させる作品の形状に切り出していきます。フレームにはめ込み、接着。ひとつひとつの工程が、細かい手作業です。15分間乾燥させ、乾いたら丁寧に研磨し、本来の輝きを引き出します。淡々と仕上げていく姿は、熟練のマイスターそのもの! 「私のポリシーはコツコツと一生懸命に働き、この石に愛情を注ぐこと。それくらい、勝ちのある石だよ。そして、お客の要求に合うように心がけているよ」とエクトルさん。ラピスラズリの魅力を知り尽くしたエクトルさんの手によって、優しく穏やかな光を帯びた作品が生まれました。深く神秘的な青さに、吸い込まれそう…。ため息がでるほど、美しく鮮やかです売り場には、こうして丁寧に仕上げられた作品が並んでいます。モアイ像の作品もありました。「この石は私たちの生活を豊かにしてくれたよ。すごく満足しているのは、私だけでなくほかの人たちにも仕事を与え、生活を豊かにしたことだよ」とエクトルさんは言います。
番組画像10
■打ち合わせをする、奥さんのエマさんと次女ロミナさん

エクトルさんは、ラス・コンテス地区にある自宅へ招待してくれました。高級住宅街にある一軒家は驚くほどの豪邸。なんと、庭先にはプールまである…、まさにラピス御殿です。こちらで、家族揃ってランチをいただきます。メニューはカスエラ・デ・バクノ、牛肉の煮込みスープです。チリのポピュラーな家庭料理です。今日は、奥さんと長男ミゲルさん(26歳)と次女ロミナさん(23歳)、さらにお母様のイダさんと妹のアナマリアさんが集合。可能な限り、家族揃って食卓を囲むのだそうです。

食事の後、奥さんのエマさんと次女のロミナさんが、テラスへ向かいました。どんな親子の語らいをしているのかな?と思ったら、なんとデザインの打ち合わせ中。2人がラピスラズリのデザインを担当しているそうです。伝統と流行と情熱…。家族が一丸となって、一つの作品が完成していたのですね。「この石を世界中のひとに知ってもらいたいよ。チリには貧しい家庭のひともいるので、そういう人たちと共に躍進していきたい」とエクトルさんは言います。

木々に囲まれた、ロス・ドミニコス民芸品村市場。都会の喧騒を忘れさせてくれる、癒しの空間は、次に何がでてくるのか?ワクワクさせてくれる宝箱のようでした。きっと、今日も、どこかの国からやってきた旅人が、小さな宝物と出会い、ふと笑顔になっていることでしょう。
余白用

このページのTOPへ