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フィジー シンガトカ「シンガトカ市場」

■ビチレブ島で最も美しいビーチ「コーラル・コースト」
青く澄み渡る空と海、陽気な人々、笑顔の国・フィジー。日本から南へ約 7,000kmの南太平洋のほぼ中央部に位置し、最大の島ビチレブはじめとする330以上の島で構成される島嶼(とうしょ)国家です。総面積は四国とほぼ同じ大きさ。年間を通して気候に恵まれており、雨期(12〜4月)と乾期(5〜11月)の区別はあるものの、極端に雨が多くなることはありません。ただし、ナンディなどビチレブ島西部に比べると、首都スバを含む南東部は比較的雨が多いといえます。 西洋史に登場するのは1643年、オランダ人探検家アベル・タスマンの航海の記録が最初。 やがてキリスト教が伝来、1874年イギリスの植民地となり、1970年イギリス連邦内で独立しました。1987年に共和制に移行、1998年に国名をフィジー諸島共和国に変更しました。言語は、フィジー系はフィジー語、インド系はヒンディー語を使用。公用語、共通語としては英語が使用されています。フィジー系はほぼ100%キリスト教、インド系はヒンズー教、回教。観光、砂糖、衣料が三大産業です。時差はプラス3時間(日本が正午の時、午後3時)。 成田〜ナンディ間の直行便があり、所要時間は約8時間30分。通貨はフィジードルで、1F$=約75.2円(2006.3現在)。

■ビチレブ島南西にある町、シンガトカ
ビチレブ島南西にある町、シンガトカが今回の舞台です。この町は、ビチレブ島で最も美しいビーチ「コーラル・コースト」への玄関口として知られ、交通の要所として発展してきました。町を流れるのはフィジーで二番目に大きいシンガトカ川。島のなかを巡ってきた水は、ここから南太平洋へと注ぎこみます。河口には銀色の砂に風紋が美しいシンガトカ大砂丘があり、フィジーでは珍しい風景を見ることができます。川を渡る橋の上には、二本のレールが。6月の収穫期には、サトウキビを満載した列車が走る姿はまさにフィジーの風物詩です。

■シンガトカ市場、売り手の大半がフィジー系
国際空港があるナンディからコーラル・コーストに行く途中に通る町シンガトカ。町の中央に市場があります。それが人口2万人の生活を支える総合マーケット「シンガトカ市場」。バスターミナルに隣接して市場は建っていました。1972年に創設され、現在745店が営業しています。町でたったひとつの市場 で、近隣の村からも買い物にやってくるひとも多い。雨が少なく日差しの強いシンガトカは農作物の栽培に適しているため、売り場にも新鮮な商品が所狭しと並びます。売り手の大半がフィジー系、ブラ(こんにちは)と声を掛ければ、フィジアンスマイルと呼ばれる笑顔を返してくれます。

■ふかしたイビは栗に近い味
市場内で不思議なものを発見。ちょっと聞いてみましょう。「ナザバ・オンゴ(これは何です)?」 イビというそうです。ふかしたイビも売っていました。栗に近い味。「エビィーザ(いくら)?」には 1F$(約75円)との返事。貝を売っている店もあります。シンガトカ川で獲れたもので、その名もカイ。どんな貝なの?と聞いたら、いきなり貝を叩きはじめました(大ざっぱだぁ〜)。身を見せてもらったら日本のシジミとよく似た貝でした。「茹でて殻が開けば食べられるわ。いっぱい食べれば病気も治って元気になるわよ」とのこと。シンガトカの貝の美味しさは、フィジーでも有名なんだそうです。 フィジーといえばやはり果物。南太平洋の島々は、どこもフルーツ王国。新鮮で、しかも安くて美味しい果物がいっぱいです。なかでもパパイヤは自慢の一品。一山で2F$(約150円)から。ひとつ切ってもらった途端、香りが広がります。ナイフを入れてもこの柔らかさ、肉厚で、濃い甘味。この味はここでなくちゃ味わえません。他にもココナッツやバナナなど、どの果物を食べても味の濃さが違うのには驚きます。フルーツの香りに包まれた市場は、歩いているだけでも楽しくなってきます。 このボトルは…あっ、蜂蜜(12F$=約902円)。お店のおばさんによれば、このまま飲めば関節炎や血圧にもよいし、顔色もよくなって健康になるのだそうです。どうやらフィジーでは蜂蜜は薬として使われていることが多いようです。美味しいんだろうな。南の島の蜂蜜作りにとても興味が引かれます。蜂蜜を作るところを見たければシンガトカにも養蜂家がいるから行くといいわ!とのこと。おばさん、ビイナカ(ありがとう)!

■ブラ(こんにちは)と声を掛ければ、笑顔が返ってくる
どんどん人が集まり、お店はどこも盛況に。でも、どことなくのんびりした雰囲気が漂っています。店の台の下を覗いてみたら、店のひとたちが楽しそうに休憩していました。さらに市場の奥へ。食べ物の売り場を抜けると、別の売り場が広がっています。ここはフィジーの生活には欠かせない、「カバ」の専門売り場。この売り場には、国の人口の半分近くを占めるインド系のひとたちが多く働いていて、公用語の英語の他にヒンディー語も飛び交っていました。「カバ」はコショウ科の植物のことで、フィジーではさまざまな伝統儀式や、日常生活の中で口にする大切なもの。値段も結構高い(30F$=約2,256円から)。その使い方は、「カバ」の木の根を乾燥させ、粉末に。そのカバパウダーを布に入れ、水を注ぎながら濾していき、搾り出した汁をいただきます。味は漢方薬のような苦味があり、鎮静作用があって若干舌がしびれる感じ。見れば、市場の中でも「カバ」を飲んでいる人たちの姿が。ちなみに口をつけたら一気に飲むのが礼儀だそうです。 フィジーに限らず、南太平洋一帯で食べられるタロ芋(5F$=約376円から)。ふかして食べるとその味は、ジャガイモのような、サツマイモのような味。伝統的な儀式で食べるのが一般的で、普段はもう少し安い芋を食べるのだそうだ。次に目に飛び込んできたのは大きなバナナ。ブンディというそうで、調理用のバナナ(5F$=約376円から)。皮を取って鍋で茹でるのだそうです。見慣れたバナナと比べると、その大きさにさらにビックリ。

■「スイ」と呼ばれる牛肉の煮込みとタピオカ
さて、市場見物もひと段落、そろそろランチにしましょう。市場の中に美味しいと評判の食堂が。行ってみたら、確かにお客でいっぱい。市場で働く人が集まる、シンガトカ市場自慢のお店。これは期待できそうです。「スイ」と呼ばれる牛肉の煮込み料理。タピオカがついて、一食3.5F$(約263円)。いろどりにモロヘイヤ。やわらかく煮込んだ牛肉とスープには、香辛料の風味が。フィジーとインド融合の味、それが美味しさの秘密です。

■ナタンドラ・ビーチに向かうサトウキビ列車
降り注ぐ南国の太陽に誘われ、島で最も美しいといわれるコーラル・コーストへ。人気の観光列車「コーラル・コースト・レールウエイ」に乗ってみることにしました。これはフィジーで唯一の観光列車で、ナタンドラ・ビーチまで約20kmを一日一往復しています。本来はサトウキビ運搬専用鉄道ですが、その一部を利用しているためにサトウキビ列車とも呼ばれています。料金はバーベキューランチ付きで80F$(約6,016円)。景色のよいところでは時速5kmと、軽く走る程度に減速します。 出発して30分、途中下車して洞窟見学。ここはサイクロンなどの災害時に村人が一時的に避難生活していた場所だそうです。そして出発してから2時間、ビーチに到着です。ビチレブ島でも随一の美しい砂浜でバーベキューランチ、ちょっとしたピクニック紀気分です。沖にある小島へ渡るコースもあります。

■「プレ」と呼ばれるフィジー伝統の家屋
さわやかな南の島の朝。市場で教えてもらった蜂蜜作りの作業を見せてもらいに出かけました。シンガトカの町を抜けると、すぐに熱帯の木々が生い茂る緑の風景に。車で走ることおよそ30分、教えられたナヤワ地区にたどり着きました。養蜂家ジョー・ウラゴンさん(58歳)、次男のタンヤラさん(28歳)、孫のティマちゃん(1歳)が出迎えてくれました。 ジョーさんのお宅は風通りがよい造りです。作業を見せていただく前に連れて行かれたのは、家の敷地の中にある小さな小屋。「プレ」と呼ばれるフィジー伝統の家屋。ヤシの葉などで作られ、釘などは使われていません。はじまったのは「カバ」の儀式。この国では、新しい土地に入った時には、この大切な儀式をするのが決まりです。「タノア」と呼ばれる木の器で、正式に作ってもらう「カバ」の汁。自然とおごそかな気分になってきました。この一杯を一口で飲み干すのが礼儀。仲間と認められた気分になるのが嬉しい!

■作業中のジョー・ウラゴンさんと次男タンヤラさん
さて「カバ」の儀式も済んで、いよいよ南の島の蜂蜜作りを見学に。作業の蜂は家の裏で飼われていました。他にも敷地内のあちこちに巣箱が置かれていました。箱は全部で58箱、87,000匹程いるそうです。ジョーさんが飼っているのはイタリア原産の蜂。病気に強く、丈夫でよく働くそうです。まずは巣箱の中の蜜の出来具合をチェック。白いところ下に蜂蜜があり、黄色いところにはまだ出来ていないのだそうです。この中に、濃厚な蜜が隠されているのかぁ〜! 元々、農家を営んでいたというジョーさんは1976年に結婚して子供は二人。「昔は、養蜂を行うのはイギリス人やインド人だけで、我々には教えてくれなっかった。6年前にニュージーランドのひとが教えてくれてから広まったんだよ」と語るジョーさん、3年前に蜂蜜作りを学んでからはフィジーにこの産業を根付かせようと普及活動も行い、今ではフィジーの蜂蜜作りの指導者となっています。 今日採ってきた蜂蜜の柵。この蜜を手作業でどうやって集めるのでしょうか。ジョーさんが用意したのは、蜜を受ける器とスプーン。見てたら、ちょっと触れただけで蜜があふれ出てきました。濃厚で甘い香りがあたり一面に漂いはじめます。純度100%のナチュラルな蜂蜜があっという間に、器に溜まっていきます。柵から取り出した蜜は、濾して不純物を取り除きます。蜂蜜は密閉して3日間ほどおきます。すると、なかに入っていた空気が気泡になって表面に浮かび、それを取り除けば、キレイな透明の蜂蜜になる。ジョーさんご自慢のフィジーの天然蜂蜜。フィジーでは蜂蜜を買っていく人の多くが調味料としてではなく薬として使われています。濃厚な甘味のなかに、ほどよい苦味が隠された大人の蜂蜜といった味でした。

■昼食をとるジョー・ウラゴンさん(中央)
蜂蜜作りの作業もひと段落、お昼ごはんをご馳走になることに。メニューはモロヘイヤのサラダと、ラーメン、そしてパンの実。なぜか日本のチキンラーメンとここで対面。そして初めて食べたのがパンの実。味はパンというよりも、芋に近い味。ラーメンの上にはコンビーフを。これ、意外とイケるのでビックリ。今度やってみようかな。 「私の作る蜂蜜は薬品などを使わない100%自然なものなんだ。だからフィジーのなかでも一番だと思っている」。さらにジョーさんは続けます。「子供たちや甥っ子もこの仕事をよく手伝ってくれる。もっとこの仕事を大きくしたいから、彼らの助けは必要だよ。ひとりではできないから彼らには感謝しているよ」と。フィジービチレブ島で出会ったシンガトカ市場。町に唯一の市場は、のんびりとした穏やかな時間が流れる地元の人たちの心のオアシス。あくせく商売するよりも、気持ちよく一日を過ごしたい。そんな人生の大切な何かを教えてくれる市場でした。

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