番組内容
囲み左上 ライン用 囲み右上
ライン用 キーイメージ ライン用
囲み左下 囲み右下
ライン用
余白用
サムネール
■ビルが密集する成都市内
サムネール
■毛沢東像は市の中心に
余白用
サムネール
■成都市内
サムネール
■成都はパンダの故郷
サムネール
■中国の紙幣
余白用
今、世界で最もエネルギッシュな国といわれる中国。経済成長がめざましいアジアの大国は、次期オリンピックの開催国にも選ばれ、まさに旬な国といえるでしょう。偉大な歴史遺産や美しい自然は中国全土に広がり、北京や上海などの大都市では近代化の波に乗って巨大都市を形成しています。ここに中華料理という食の魅力も加わり、訪れるものを飽きさせません。

日本との交流は歴史が古く、遣隋使の時代にまでさかのぼります。それから日本と中国は友好と対立を繰り返しながらも、共に影響し合い成長してきたといえるのではないでしょうか。1972年に日中国交正常化が実現してからは、再び人や文化の交流が活発になり、近年は観光やビジネス、留学など人の往来も盛んです。

その中国で、現在、急成長を遂げる都市のひとつ、中国西南部の経済や交通の中心地・成都に、私たちは降り立ちました。成都は四川省の省都です。四川省といえば、辛い中国料理を思う浮かべる方が多いのではないでしょうか。成都は、日本でも大人気のパンダの故郷だということをご存知の方もいらっしゃると思います。また、三国志の舞台としても有名で、三国志関連のグッズなども街に溢れています。日本人が持つ「中国のイメージそのもの」が成都の特徴といっても過言ではないでしょう。

日本からのフライトは、成田発北京経由が毎日、そして福岡発上海経由が週4便と便利です。乗り換えの時間を入れると、7時間半ほど。時差はマイナス1時間(日本が正午のとき、中国は午前11時)。国土の広い中国ですが、時間は統一されています。通貨は人民元、1元=約12.9円。(2005年3月現在)
余白用
サムネール
■こんな可愛らしいお茶も
サムネール
■茶館でくつろぐ人々
サムネール
■店内は、成都伝統様式
余白用
成都市内を歩くと、あることに気が付きます。道行く人が、みんな蓋付きのカップにお茶を入れて持ち歩いているんです。やっぱり、中国の人はお茶が好きなんですね。こちらでは、茶碗やカップに直接茶葉を入れ、そこにお湯を注いで飲むのが一般的。それに茶葉として、ジャスミンや菊の花が入っていることも多いので、ガラスなどの透明な容器でお茶を飲むと、とてもきれいです。

街中でコーヒーショップを見かけることはほとんどないけれど、お茶を出す「茶館」と呼ばれる喫茶店はいたる所にあります。そこでは、お喋りをしたり、麻雀をしたり、時間を気にせずのんびりとした時間を過ごしています。成都市内を流れる川のほとりには、オープンテラスの茶館もあって、とっても気持ちよさそう!

そんな茶館で、お茶や食べ物を楽しみながら、四川省独特の民間芸能「川劇」を見られるところがあると言います。川劇とは、顔のお面を瞬く間に次々に変えていく、変瞼で知られる伝統芸能だそうです。興味を持った私たちは、成都市内にある「順興老茶館」に、お茶と川劇を楽しみに行きました。1000人以上収容可能という店内は、成都独特の民間建築を再現したすてきな雰囲気。川が流れ、古い佇まいのお茶屋や、お土産店が軒を連ね、凝った作りです。ちょっとタイムスリップしたような、懐かしい感じがします。

ここでは、お茶が30種類以上、シャオチーといわれる四川独自の軽食(点心)が100種類以上用意されています。竹葉青茶が1杯28元(約261円)。点心はセットで種類によって40〜100元(約516円〜1290円)。お茶の入れ方(お湯の注ぎ方)がまるで雑技団の技のようで、これも必見です。川劇のステージは20時から。英語での解説もありますし、言葉がわからなくても楽しめるお笑いのステージです。そして、いよいよクライマックス。変瞼がはじまります。いつの間に顔が変わったの? その速さにびっくりです。笑って、楽しんで、お腹もいっぱいになって、楽しい夜は更けていきます。
サムネール
■シャオチーはハオチー
サムネール
■ショーの模様
余白用
サムネール
■中国最大の漢方薬市場!
サムネール
■店・店・店!
サムネール
■市場主任の高さん
サムネール
■天馬
サムネール
■ムカデ
サムネール
■鹿の角を専門に扱う店
余白用
中国といえば、いろんなものを思い浮かべると思いますが、「漢方」もそのひとつではないでしょうか。今回の舞台は、その漢方を扱う「荷花池(にかち)漢方市場」です。成都中心部から北へ車で20分ほどのところにあります。大きな屋根の下に、物凄い数のお店が。100m以上の奥行きがあり、どこもかしこも漢方の珍しい漢方が並びます。さすが中国三大生薬市場のひとつにして、世界最大規模の漢方市場、スケールが違います。独特の乾物のような匂いが漂います。見たことないような、これが漢方?と首をかしげたくなるようなもの、漢方にならないものはナイんじゃないのと思うほど、数え切れない種類が並びます。

市場主任の高 鉄翔(コウ テツショウ)さんに漢方のこと、市場のことを教えていただきました。「ここの漢方はほとんどが四川産。症状によって組み合わせて服用します。漢方は副作用がないので安心です。病気にならない体を作るのが、漢方の目的です」とのこと。ここは中国国内でも一番大きな漢方薬市場で、成都にある薬剤メーカーや、病院などから買い付けにやってくるそうです。もちろん小売もしています。

漢方については無知な私たちは、気になったものを聞いて歩きました。小さなヘチマのようなもの、これは何でしょうか? 天馬(テンマ)という薬剤で、土の中に育つ植物だそうです。血圧を下げたり、頭痛を治す効果があるのだとか。水に漬けてもどし、細かくスライスして鶏肉と一緒に煮込んでスープをいただくそうです。500g170元(約2193円)。さすがに漢方は値がはるようです。これは・・・細長く、足がいっぱいある黒い虫。ムカデですね。聞かなくてもわかりました。ムカデは1本0.8元(約10円)でリウマチに効くのだとか。隣にはサソリも並んでいます。

漢方ではよく見かける(ような気がする)、鹿の角を売るお店がありました。鹿の角は、血液を増やす働きや、腎臓の機能をよくする働きがあるそうです。お酒に漬けて飲んだり、粉末にして茶碗蒸しに入れたり、細かく切ってスープでいただくそうです。値段はものによって、500g800元〜5000元(約10320円〜64500円)。随分開きがあるんですね。鹿の角と一緒に並んでるこれは…、鹿のペニス、お酒に漬けて飲むと滋養強壮に効くそうです。1本480元(約6192円)。「漢方は、西洋医学と違って、病気の源をゆっくり時間をかけて治すのよ」とお店の人。
余白用
サムネール
■セミの抜け殻も漢方
サムネール
■トグロを巻いた蛇
サムネール
■人気のお弁当屋さん
余白用
日本でも、よく公園で見かける「セミの抜け殻」も漢方の薬剤だそう。知りませんでした。今度から拾い集めてみようか、なんて思いつつ。セミの抜け殻は粉末にして、他の漢方と合わせて飲むと、目にいいそうです。やっぱり、集めてみようかな? 値段は500g27.5元(約355円)。隣にはトグロを巻いた蛇が。関節痛に効くそうです。

ちょうど通路が交差するところに人集りがあります。何だろう、と覗いてみると、屋台のお弁当屋さん。出来立てを運んで来たらしく、湯気が立ってて美味しそう。ご飯の上に、好きなおかずを載せてくれます。みんなお腹がすいているのでしょう、屋台が見えないくらいに人が集まっています。私たちが漢方に目をやっていると、あっという間に売り切れて、屋台を引いて走り去っていきました。

お昼時なんだな、と思うと急にお腹が空いてきました。屋台のご飯は食べ損ねたので、市場を出てすぐの食堂へ。やっぱり四川料理といえば、麻婆豆腐でしょう。目の前で豪快に作ってくれます。最後にたっぷりの花椒(山椒)をふりかけるのが、本場ならでは。アツアツの麻婆豆腐は、辛さの後に、舌と唇がシビれます。でも本当に美味しいんです。ご飯を頼んでも5.5元(約71円)。この日は寒かったのですが、一気に温まります。

体も温まり、広い市場をさらに奥へ。まだまだ面白い漢方がたくさんあります。巨大なキノコを見つけました。霊芝(レイシ)という名前だそうです。聞いたことがあるような? 霊芝は体の免疫力を高め、癌予防に効くそうです。お酒やお茶に漬けて飲みます。500g35元(約451円)。意外とリーズナブルな気がしてしまうのは、気のせいでしょうか?

肝臓にいい、と日本でも飲みすぎのお父さんに人気の郁金(ウコン)は、中国でも人気です。四川省のウコンは、小ぶりで濃い茶色をしています。500g45元(約580円)。「四川のウコンは効能が高いんだ!」と自慢げに教えてくれました。
サムネール
■本場の麻婆豆腐
サムネール
■霊芝はかなり大きい
サムネール
■四川のウコンは色が違う
余白用
サムネール
■糖尿病には灰兜巴
サムネール
■大豆のような貝母
サムネール
■薬効はなんでしょう?
余白用
おぼろ昆布のような、柔らかく細長い繊維の束。これは灰兜巴(ハイトウバ)という糖尿病用の漢方だそう。虫が地面に掘った穴に、蜘蛛が作った蜘蛛の巣! 500g75元(約967円)。蜘蛛の巣が、糖尿病に効くなんて…、漢方の奥は深いです。水から沸かして、お茶の様に飲むそうです。手で持ち上げると、粉が舞います。この粉を吸うだけでも効果があるとか。

白いかわいいツブツブは、貝母(カイボ)という四川産の漢方です。ちょっと甘みと苦味があるとか。スープに入れたり、そのまま食べたり、咳止めに効くそうです。500g500元(約6450円)。「四川はたくさんの漢方が採れるんだよ!」とお店のおじさん。他にも見たことない漢方がいっぱい。全部聞いて歩いたら、いったい何日かかってしまうのでしょうか。

ほとんどの漢方は、麻の大きな袋に入って、袋ごと店先に並んでいることが多いのですが、ガラスのショーケースや瓶に大事そうにしまわれた品がありました。細長い木の枝のようでもあり、乾燥した虫のようでもあり、これはいったい・・・、「冬虫夏草(トウチュウカソウ)よ!」と優しく教えてくれたのは、王さん。以前、日本でも話題になった漢方です。

それにしても面白い形です。王さんによると、「これはきのこの一種で、標高3000m以上の場所にしか育たない貴重な漢方なの。これを飲み続けてガンが治ったという人もいるのよ。ガンの予防や治療、精力剤としても効果があるの。とにかく体にいいの。数ある漢方の中で最も名高い漢方で、うちで扱うチベット産は最高よ。大きいものは値段が張るわ」とのこと。値段を聞くと、500g15000元〜25000元(約193500円〜325500円)! 驚きの価格です。冬虫夏草は、虫に寄生した菌類が、虫からきのこを生やしたもの。昔は冬に虫の形をし、夏は変じて草になるものと信じられていました。

これまで、物価の安さに驚いていた私たちは、その値段にビックリしてしまいました。そういえば、王さんのお肌は同年代の女性に比べるとツルッツルなんです。その秘訣は、もしや…、「うちでは冬虫夏草を調理してよく食べるわ。そのお陰でみんな元気よ。うちに来れば、選別の様子や料理の作り方も見せてあげるわ」と。願ってもない申し出に、私たちは喜んで伺うことにしました。
サムネール
■漢方は袋ごと並ぶ
サムネール
■冬虫夏草だけは特別扱い
サムネール
■市場の子供
余白用
サムネール
■王さんのお店で
サムネール
■慎重に冬虫夏草を選別
サムネール
■冬虫夏草と、除かれた芯
余白用
翌日、荷花池漢方薬市場で冬虫夏草を扱う王 英(オウ エイ)さん(55歳)を訪ね、成都市の下町といわれる駟馬橋区を訪れました。集合住宅が立ち並び、公園で遊ぶ子供たちの声が響きます。その一角にあるマンションの3階に王さんのご自宅はありました。笑顔が素適なご主人、田 守正(デン シュセイ)さん(65歳)と出迎えてくれました。田さんは、中学校教師を定年退職され、王さんのお仕事を見守っています。さっそく、冬虫夏草の選別から見せていただきます。

奥から出てきたのは、大きなダンボール。チベットから送られたままの姿で、厳重にテープが貼られています。箱を開けると、箱いっぱいに冬虫夏草が入っています。これ1箱に20kg入っていて、ナント90万元(約1160万円)。ダンボール箱が宝箱に見えます。「そうよ!冬虫夏草はすべてが宝物なの。1本、1本大切に扱うわ」と王さん。1本、1本大きさを見て、丁寧かつ素早く、大・中・小の3種類に選別します。大きさによって、値段も全然違うので、気をつけて選びます。

選別が終わったら、今度は1本、1本、中に入っている小枝のような芯を取り除きます。乾いているので、抜きにくい芯がほとんどです。ペンチを使って、冬虫夏草を傷つけないように、力を加減しながら慎重に抜きます。これだけの量を処理するのはたいへんです。「芯は食べられないし、これが入っていると品質を疑われるから、手は抜けないわ」と言います。芯を抜いたら、商品として市場に並べるそうです。
サムネール
■まるで宝石箱
サムネール
■料理の材料
サムネール
■冬虫夏草をよく洗う
サムネール
■鶏の漢方スープ煮込み中
余白用
続いて、王さんが薬膳料理を2品作ってくれると言います。「鶏の漢方スープ」と、「アヒルの冬虫夏草スープ」です。まずは、「鶏の漢方スープ」から。これは昔、皇帝しか食べられなかった高級料理で、体力が低下している時に食べると元気になるそうです。このスープには5つの漢方が入ります。天馬(テンマ)、文党(ブントウ)、砂参(シャジン)、黄奇(コウキ)、当帰(トウキ)です。天馬を多めに入れると、美味しさが増すそうです。まず、これら漢方を洗って土を落とし、小さく切ります。あとは、鶏を丸ごと1羽を一緒に水で煮るだけです。昔は何時間もかけて煮込んだそうですが、今は圧力鍋を使って30分程でできます。

次に、「アヒルの冬虫夏草スープ」です。こちらに入る漢方は冬虫夏草のみ。30gを計って、水で洗って、土をよく落とします。何度も水を換えて、よく洗います。これを、アヒルの中に詰めます。アヒルの臭みを取るために、昆布と生姜のスライスも合わせて入れます。ここにお湯を注ぎ、40分ほど圧力鍋で煮れば完成です。この食べ方は、冬虫夏草を使った料理の中で最も代表的な料理だそうです。強壮剤として、またガン予防に効果があるそうですが、さらに血圧を下げる働きもあるそうです。血圧が低い場合は、アヒルではなく鶏を使うと効果的だそうです。肉の種類で、効能も変わってくるんですね、不思議!

台所から、美味しそうな湯気が立っています。スープの出来上がりです。どちらも肉は食べずにスープだけいただくそうです(もちろん食べてもOK)。「鶏の漢方スープ」は、濃い黄色をしています。「アヒルの冬虫夏草スープ」は昆布の色でしょうか、少し緑がかっています。贅沢な飲み比べです。

お味は・・・うーん、どちらも「凄く美味しい!」という訳ではないのですね。皆さん、お気づきになりましたか? これらのスープには、お塩等の調味料は一切入ってないのです。ですから、素材そのものの味がするんです。「鶏の漢方スープ」は、5種類の漢方が入っているだけあって、薬草の香りでいかにも薬膳という味です。「アヒルの冬虫夏草スープ」の方が飲みやすい印象です。でも慣れてくるとどちらも美味しいです。
サムネール
■美味しそうな湯気が
サムネール
■鶏肉は食べない
サムネール
■冬虫夏草がこんなに!
サムネール
■みんなで薬膳を味わう
サムネール
■2004年にも表彰される
サムネール
■王さん・田さんご夫妻
余白用
お腹もいっぱい、健康になったところで(?)王さんにお話を伺いました。以前は農家だったという王さん、政府の開放政策で、もともと好きだった漢方の仕事をはじめようと思い立ったそうです。当時は資金も少く、仕入れルートもまったくない状態で、それでも何とか安い漢方から取り扱いはじめました。最初のの4年間は資金作りのために、節約の日々だったとか。寝台列車にも乗れず、堅い椅子の一番安い席で、夜行列車に乗って買い付けにいっていたそうです。

その努力が実って、漢方を取り扱いはじめて4年後に、念願の冬虫夏草を扱うようになったそうです。その頃から、「冬虫夏草を食べて病気が治った」という噂も広まり、冬虫夏草が一気に値上がりして、商売もうまくいくようになったそうです。年間40〜50kgの冬虫夏草を販売している今も、年に3、4回はチベットに買い付けにいくそうです。3人のお子さんも、全員アメリカ等に留学しており、まさに冬虫夏草で成功を掴んだ、といえるのではないでしょうか。

「中国には昔から、医食同源という考え方があります。うちの家族は冬虫夏草をいつも食べて、家族全員健康。冬虫夏草は国の宝です」と誇らしげに話す王さん。お部屋には、王さんの業績を称えたいくつもの表彰状が飾られています。ご主人の田さんは、「彼女(王さん)は、中国の強い女性。仕事も家事もほんとよくやってくれている。彼女に出会えて私はとてもラッキーだ」と自慢の奥さんです。

ふとみると、傍らで聞いている王さんの目には涙が浮かんでいました。お孫さんがいるとは思えないほど、元気で若々しい王さんと素適なご主人。お二人はいつも笑顔で、幸せな様子が目に見えてわかります。いつまでも仲良く、お幸せに。素適なご夫婦に出会えて、私たちも優しい気持ちになれました。



*本文は、特定の漢方剤を推奨したり、またその薬効を保証するものではございません。
サムネール
■インタビュー中の王さん

このページのTOPへ