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自然公園の渓谷 国内の蝶は1200種以上 ラ・パス滝自然公園
「エコツーリズム(Eco Tourism)」という言葉が広く世間に知られる以前から、自然環境の保護と観光資源としての自然利用、その相反するテーマに取り組んできたコスタリカ共和国。九州と四国を合わせたほどの約51,100平方キロメートルの国土は、地球の総面積のわずか0.034パーセントです。しかしこの国に確認されている動物種は50万種類以上、植物種は12,000種以上といわれ、国土の24%以上が国立公園や自然保護区に指定されるほど。小さな国土に凝縮された「動植物の宝庫」を目指し、世界中から自然愛好者が訪れます。

コスタリカは北米大陸と南米大陸の地峡部に位置し、北にニカラグア、南にパナマと国境を接しています。その両大陸からの動植物が混在するため、このような多様な自然形態が作られたといわれています。また地理的には熱帯に位置し、カリブ海、太平洋という大洋に東西を挟まれていること、海岸部もあれば標高3000メートル級の山もあることなどから、その豊かな自然が育まれる要因となっています。気候は大まかに12月から4月を乾期、5月から11月を雨期と分けることができますが、地域によって気温・降雨量の違いが見られます。

国の総人口は約415万人(2002年現在)。公用語はスペイン語で、一部ホテルなどでは英語が通じるところもあります。通貨単位はコスタリカ・コロン。1コロンは約0.3円(2003年9月4日現在)です。ただし日本円からコロンへの両替を行っているところはほとんどないため、USドルを持っていった方がよいでしょう。

また日本からコスタリカを訪れる場合、飛行機の定期直行便は現在運行されていないため、少なくとも一回はどこか他の国での乗り換えが必要です。一般的なのはアメリカで乗り換えてコスタリカへ入国する経路でしょう。日本との時差は15時間遅れ(日本が正午の場合、コスタリカは前日の午後9時)です。
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グリーンバシリスク

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火山に囲まれたサンホセ 路線バスや観光バスが走る ジャングルクルーズボート
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イラス火山のクレーター湖
現在、コスタリカへ観光に訪れる外国人観光客は年間約110万人を越えます。その観光の拠点となるのが首都サンホセです。標高約1150メートルの高原都市サンホセは、火山などの山々に囲まれた中央盆地に位置し、政治・経済・文化・交通の中心地です。

コスタリカには鉄道がないため、各主要都市や観光地へ移動するにはバスが安くて便利です。サンホセ中心部から出発する路線バスの利用もよいのですが、観光客には各ホテルに送迎してくれるツアーバスも人気のよう。路線バスのように帰りのバスを心配する必要もなく、また自然に精通したツアーガイドがさまざまな説明をしてくれたり、効率的にいろいろな観光地へ回ることができるからです。サンホセにはたくさんのツアーがあり、自分の目的や予算に合ったものを選ぶことができます。

日帰り観光で人気なのが、サラピキ川のジャングルクルーズ。サンホセ北東を流れるサラピキ川をボートで遊覧するもので、熱帯雨林の中を流れる川から熱帯のさまざまな動植物が簡単に見られるとあって、大変人気の観光地です。ナマケモノやワニ、ホエザルやイグアナ、ヘビウなど、さまざまな野生動物が現れ、コスタリカの大自然を満喫できます。

またイラス火山国立公園も人気の日帰り観光地。サンホセからバスで約2時間ほどで標高3,432メートルの山頂に着くことができ、その頂上からはぽっかりと口を開けた深緑色のクレーター湖を見ることができます。このイラス火山はコスタリカの国章の描かれた3つの火山の一つで、コスタリカ人にとってはとても馴染みの深い山なのだとか。晴れた日にはカリブ海側と太平洋側を同時に見ることもできるそうです。

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街の中心部にある市場 外国人観光客が多い市場 羽に描かれたオオハシの絵

観光客にとって外せないものの一つが、やはりお土産物選び。お土産物を見ることが楽しくてしょうがない人もいれば、とりあえず友達に渡すお土産ということで、何がよいかと頭を悩ます人もいるかも知れません。しかし共通しているのは「その国ならではのもの」を求めているということ。サンホセの街中には土産物屋もたくさんありますが、コスタリカのさまざまなオリジナル商品が一堂に見られて、しかも安く買える民芸品市場があるというのです。それが、サンホセの中心部に位置する1976年開業の「カソナ民芸品市場」です。

市場は二階建てになっており、店舗数は約70店。狭い通路と小さな店舗にはさまざまなコスタリカオリジナルの商品がディスプレイされています。コスタリカは小さな国ですが、土産物は意外に多くの種類があります。ちなみにコスタリカの他の市場ではあまり英語は通じませんが、この市場では比較的よく通じます。お客のほとんどが外国からの観光客だからでしょう。

最初に目にとまったのは、鳥の羽にカラフルな絵を施し額に入れた飾り物です。使われる羽は、現地で「トゥーカン」と呼ばれるオオハシの羽。大小さまざまなサイズがありますが、どの羽にも、鳥などの動植物やコスタリカの風景などが細かく描かれてあります。聞けばすべて職人による手書きなのだとか。コスタリカオリジナルのお土産としてたいへん人気があるそうです。額附きで4000コロン(約1200円)からあります。

最近流行なのは、バナナの房を取った後に残る芯の部分を使って作られるバナナペーパーと呼ばれるもの。今まではその芯の部分は捨てられていたそうで、何かに利用できないかと考えられたのがこの紙。エコ先進国コスタリカらしいお土産とあって、人気は上々なのだとか。これと似たものにコーヒーペーパーという、同じくコーヒーの不要部分で作られた紙も最近出てきています。バナナペーパーのメモ帳1400コロン(約420円)、コーヒーペーパーのレターセット2500コロン(約750円)など、種類も豊富に揃っています。

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様々なバナナペーパー

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素朴な先住民族の焼き物 じっくり見たい商品の数々 値段交渉も楽しみの一つ
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ミニチュアのカレータ
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実際に使われてるカレータ
興味深いのはコスタリカの北部、グアナカステ地方で作られる、先住民の焼き物です。グアイティル村という焼き物で有名な村で作られているそうで、その地方で採れる土やドロを使いすべて手作りで焼き上げているのだとか。お皿や壺など形はさまざまですが、そのほとんどに動物や植物をモチーフにした絵が施されています。土の暖かみを感じる素朴な焼き物です。2000コロン(約600円)ほどで絵皿が購入できます。

他にも祭事の際に着用するコスタリカの民族衣装や、昼寝にもってこいのハンモック、革製品や木工製品など、ありとあらゆる民芸品が揃い、見ているだけでもコスタリカの文化を細部に感じて楽しめます。

しかし、どのお店も大体同じような品揃えで、実際どのお店で買うかは迷うところです。実は同じ市場内の同じ商品でも、各お店で値段は微妙に違っています。その上、この市場では値引き交渉もできます。ですので、時間があればひと通り見て値段を確認した後に値引き交渉をして購入する方がよいでしょう。値引率は商品や店によって違いますが、どのお店でも嫌な顔ひとつせず交渉に応じてくれます。

コスタリカの伝統工芸品で最もコスタリカらしいものといえば、「カレータ」が挙げられるでしょう。カレータは本来牛車のことを指します。しかしコスタリカのカレータはとてもカラフルで美しく、実用の域を超えた芸術品ともいえます。市場にも20センチほどのものから、実物の5分の1程のものなど、たくさんのミニチュア・カレータが売られています。もちろん、市場の人気商品。値段は小さいもので5000コロン(約1500円)、大きなもので75000コロン(約22500円)ほどです。

カレータはもともとコーヒーなどの農作業で荷物運搬に使われるものでした。車などがなかった昔は、そのカレータを交通手段として利用し教会などへ出かけていたそうです。そして教会に集まる多くのカレータの中から、自分のカレータが分かりやすく目立つようにと花を飾ったりするうち、誰かが車体そのものに色を施したのを機に、競い合うようにカラフルになっていったといわれています。現在は車という便利なものもあり実用面では廃れつつありますが、芸術としては大きく発展し、国を代表する工芸品となっています。また一部、車が入れないような場所では今でもカレータを使い、農作業を行っているところもあるそうです。

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サルチ村 豪華なロナルドさんの家 味のあるアルファーロ工房
カレータのことをもっと知りたくなった私たちは、翌日、サンホセから車で北西に約一時間半のアラフエラ県サルチ村に向かいました。サルチ村は人口約2,000人のさほど大きくもない村ですが、コスタリカで最も有名な伝統工芸品の故郷として、また上質の家具や木工製品を作る職人の村として名高い場所なのです。私たちはまずサルチ村の有名工房の絵描き職人ロナルド・アルピサールさん(42歳)の自宅を訪ねました。

ロナルドさんの自宅があるのはサルチ村の住宅街。コスタリカのほとんどの一軒家は平屋作りなのですが、ロナルドさんのお宅は二階建てでとても立派なお宅です。大きさもそうですが、その豪華さにも目を見張るものがあります。まずはロナルドさんに案内され、車で5分ほどのロナルドさんが勤める工房へ向かいました。

彼が勤める「アルファーロ工房」は開業80年の伝統あるカレータ工房です。オーナーはセニオ・アルファーロさん(70歳)。現在2代目としてアルファーロ工房を経営しています。さっそく、その作業を拝見させていただくことになりました。

最初にカレータの車体そのものを作ります。まず木の板をそれぞれのパーツごとに切っていくのですが、その裁断機の動力源は、なんと水車。水は5キロほど上流から引いているそうで、その水で水車の車輪を回し、その回転を受けて数個の歯車が回り、それが工房内に渡っているベルトを回して最終的には裁断機などの個々の機械を動かしています。工房を作った80年前はこの場所には電気が通っていなかったそうですが、電気の通った現在でもこの水車のよる動力を利用しカレータ製作を行っています。切った木材は各パーツごとに組み合わせて、カレータのあの牛車の形ができあがっていきます。

アルファーロ工房で作られるカレータのほとんどは受注生産です。サイズもさまざまで、牛が引くような大きなものから自宅に飾るものなどお客さんの注文によって決まります。一体を作り上げるのに大体約3週間前後ほどかかるのだとか。もちろんその大きさや、どの程度装飾に凝るかによっても変わってくるそうです。値段は一体35万コロン(約10万5000円)前後で、こちらも大きさや装飾具合で決まります。
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車輪を組むロナルドさん
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だんだん形になる

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車輪に絵を施す 細かい部分も手を抜かない 完成した美しいカレータ
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家族との団らん
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ロナルドさんファミリー
形ができあがったらロナルドさんの出番。いよいよあのカラフルな色付けが始まります。まず一度カレータの部品をパーツごとにばらし、ベースの色を塗ります。その上から複雑で繊細な絵柄を施すのです。彼の頭の中には200以上のすでに決められた伝統的な絵柄が入っているそうで、下絵も描かずにすらすらと書き上げていきます。小さな曲線や点を完璧なバランスで書き上げていくテクニックは素晴らしいものがあり、配色にも狂いはありません。「時間に追われる時は辛いけど、リラックスして絵描きに集中できる時は本当に楽しいよ」とロナルドさんは言います。ロナルドさんが美しい絵を描き終え、再度組み立てたらカレータは完成です。

ロナルドさんが伝統工芸の世界に飛び込んだのはまだ15歳の頃。近所にカレータ工房があり、幼い頃からその絵の美しさに引かれ覗いていたそうです。その工房で師匠に付いて様々な技術を教わり、2年後、「もう一人でもやっていける」という自信がつき17歳で独立しました。優しかった師匠は「この仕事に必要なのは忍耐力と精神力だよ」と言って、決して怒ることなく辛抱強く教えてくれたそうです。今のロナルドさんの仕事に対する集中力と、私たちに話しかける優しい口調はその師匠譲りなのかも知れません。

午後の昼食は一度自宅に戻って取ります。家では奥さんのガブリエラさん(41歳)と、学校が休みだった娘のシャーリンさん(17歳)と息子のダニエル君(13歳)がお父さんの帰りを待っていました。家族での食事はロナルドさんにとって心の安らぐひとときです。彼はいつも「家族の中心に自分がいて、その回り家族がいる。家族は一つの円。悪いことが起こっても、自分が中心となり家族みんなで解決することが大切なこと」と考えているそうです。

ロナルドさんは昼食後もまた工房へ出かけます。こうして1日12時間は工房で作業をするそうです。仕事に成功し、大きな家に住んでいるのも「とにかく休みなく働いた結果」だと言います。がむしゃらに働いてお金も地位も得て、それでもなおひたすらにカレータ作りを続けるロナルドさん。彼をそこまで駆り立てるカレータ作りとは、彼にとって一体なんなのでしょう。

「自分の作っている物は国を代表する文化であり、シンボルなんだ。その自覚と誇りを持って、この曾祖父の時代から続く歴史ある仕事を続けているよ。近年、カレータ工房も規模が小さくなってきている。寂しく思う分、自分が国の代表を守っているという責任を持って作っている。カレータはずっと大切にしたい自分の国の伝統だからね」。ロナルドさんのような職人がいる限り、コスタリカはカレータという美しいシンボルを失うことはないでしょう。

 

コスタリカ「カソナ民芸品市場」
アルバム
   市場のセレクト写真集
見所紹介
   市場を通して見えてくるものは?
番組内容
   カソナ民芸品市場をご紹介
制作こぼれ話
   撮影現場の裏話満載!
市場で働く女性
   老いも若きもがんばってます
お国自慢レシピ
   簡単でおいしい逸品を伝授します