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コスタリカの街並み 軍事要塞跡に建つ博物館 歴史を物語る昔の大砲
世界で唯一、非武装の永世中立国が中米にあります。コスタリカ共和国。北米大陸と南米大陸の地峡部に位置し、九州と四国を合わせたほどの小さな国です。1949年、それまでのさまざまな内戦の犠牲と反省を経て軍隊を廃止し、1983年には永世中立宣言を行ないました。いらなくなった軍事費は教育・福祉・自然保護に使われ、「豊かな国づくりは国民への投資」という考えのもと「平和の先進国」として歩む国です。

また熱帯に位置するコスタリカは豊かな自然に恵まれた国です。東西にカリブ海・太平洋と、美しい海に挟まれ、約51,100平方キロメートルの国土の大半は森林に覆われています。気候は大まかに12月から4月を乾期、5月から11月を雨期と分けることができますが、沿岸部と中央部では標高差が1000メートル以上あるため、地域によって気温・降雨量が違ってきます。隣国は北のニカラグアと南のパナマ。国の総人口は約415万人(2002年現在)です。

公用語はスペイン語で、一部ホテルなどでは英語が通じるところもあります。通貨単位はコスタリカ・コロン。1コロンは約0.3円(2003年9月4日現在)です。ただし日本円からコロンへの両替を行っているところはほとんどないため、USドルを持っていくことをお勧めします。日本との時差は15時間遅れ(日本が正午の場合、コスタリカは前日の午後9時)。日本からコスタリカを訪れる場合、飛行機の定期直行便は現在運行されていないため、少なくとも一回はどこか他の国での乗り換えが必要です。一般的なのはアメリカで乗り換えてコスタリカへ入国する経路でしょう。

「中米の楽園」と称されるコスタリカ。温暖な気候と「武器を持たない永世中立国」という治安の良さ、物価の安さなどから、北米やヨーロッパの人々から老後を暮らす場所としても好まれ「年金生活者の楽園」とも呼ばれています。国もそのような人々に広く門戸を開け、さまざまな条件の下、永住しやすい環境を作っています。この国が「楽園」といわれるのは、気候や自然の面だけでなく、人々の手による平和維持の成果なのかも知れません。
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平和と自由を象徴する国旗

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ヤシの木が立つ遊歩道 メルセー公園の円球石 栄養満点のヘルシーフード
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料理は子供も食べやすい
首都サンホセは標高約1150メートルに位置する高原都市です。平均気温約23度と爽やかな気候で、一年中過ごしやすいといわれるサンホセの街。しかしヤシの木の街路樹や花壇に咲く色鮮やかな花々が、やはり南国を思わせます。

街の中心部にあるメルセー公園には、世界の学者が注目する、あるものがあります。それが世界七不思議の一つといわれる「円球石」です。約1000年以上前の地層から出土したこの円球石は完璧な球体で、かつ人の手によって作られたものと考えられています。またそれが出土した付近にある岩石ではないので、どこから持ってきてどのように運んだのか、そして誰が何のために作ったのか、現在でも謎のままです。円球石は他にもサンホセの国立博物館などで見ることができますので、コスタリカを訪れたなら是非直接見て、触って、その謎を感じて欲しい歴史の遺物です。

そして今、サンホセでちょっとしたブームになっているのが、自然食レストランです。サンホセに10店舗を構えるベジタリアン・レストラン「ビシュヌ」は、体に優しい料理を提供する店としてホセフィーノス(サンホセ住民)の注目を浴びています。お店のお勧めは、「ソイバーガー」650コロン(195円)と「フルーツサラダのアイスクリームがけ」1000コロン(約300円)。ソイバーガーは大豆で作ったハンバーグを自家製麦芽パンに挟んだもので、減塩調理で少し薄味ですが自然で素朴な味が特徴。フルーツサラダはパパイヤやイチゴ、バナナなどのフルーツにグラノーラ(穀物をシリアルにしたもの)とヨーグルト、そしてアイスクリームをのせたもので、栄養満点のデザートサラダ。共にコスタリカの大地で育った農作物の美味しさが詰まっています。

火山国でもあるコスタリカは、肥沃な大地に恵まれ農業国として大きく発展しました。このようなコスタリカの農作物を見るのによい市場があると街の人に聞いて、サンホセの中心部にある市場に向かいました。

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ボルボン青果市場の外観 傾斜を利用した市場の造り 山と積まれた野菜

「ボルボン青果市場」はサンホセのダウンタウンに位置する、1950年開設の食品市場です。元々は名前の通り青果市場としてスタートしたのですが、現在は肉や魚、穀物や乳製品など食品全般を扱う市場となっています。建物は地階と一階という構成になっており、店舗数も約250店と、サンホセでは規模の大きな常設市場のひとつです。

まずは地階から散策開始。地階といっても道路から直接入ることができる、半地下というような感じです。入口からそのまま続く下り坂の通路に沿って、各お店が並んでいます。日本ではあまり目にすることがないような熱帯の野菜や果物が、所狭しと山のように摘まれていました。そのほとんどはコスタリカ国産のもの。サンホセ近郊で収穫されたという農作物は大きく実り新鮮そのものです。市場に一歩入っただけで「農業大国コスタリカ」を実感します。

最初に目にとまったのは、1キロ150コロン(約45円)のユカイモという長くて太い芋。お肉と煮込んで食べるのが一般的で、日本の里芋のような味がします。滞在中、実際に食べる機会が何度かあったのですが、甘みともっちりした食感はまさに里芋で、大変美味しい芋でした。もう一つ、煮込み料理によく用いられるものとしてチャヨーテという瓜もあります。日本名はハヤトウリ。値段は一個20コロン(約6円)。他にもキャベツやカボチャ、ニンジン、トマトが1キロ150コロン(約45円)など、この市場は、地元のお客さん曰く「新鮮で安いものが、安心して買える市場」なのです。

一階は青果の他に、肉、魚、穀物や日用品なども扱っています。細い通路が迷路のように延び、売り場エリアもはっきりしないフロアは雑然とした雰囲気です。穀物屋さんの店頭では、たくさんの豆類やお米が並べられていました。実はコスタリカの多くの家庭の主食はお米です。日本と同じような炊飯器がほとんどの家庭にあります。そのお米と一緒によく食べられるのが、フリホール豆と呼ばれる金時豆を少し小さくしたような赤い豆。茹でたフリホール豆とお米を一緒に炊いた「ガジョ・ピント」と呼ばれる料理はコスタリカの朝食の定番で、見た目も味も、日本のお赤飯のよう。ちょっとパサパサしていますが、日本人の口にはとてもよく合います。

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様々な穀物が揃う

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これが海亀卵ジュース 味は・・・こんな感じ ビックサイズのパパイヤ
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市場の一角、バナナ売り場
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豊潤なグアナバナ
再び地階に下りてみると、小さな箱に何かを売っている人がいました。のぞき込むと、トマトジュースのようなものが小さなカップに注がれています。でもその中央には何か黄色いものが・・・「これはね、海亀の卵だよ」と店員さん。なんとコスタリカでは太平洋側のとある海岸で産卵されたものだけは採取し食べることができるそうです。このトマトジュースみたいな飲み物はサングリータと呼ばれ、トマトジュースにピーマンや香辛料を入れた酸味と辛みのある飲み物。この中に海亀の生卵が入っていたわけです。

味はというと、ほとんどがサングリータの味で、卵自体に味はないとのこと。ただ食感は鶏卵より少しゼラチン質が多いような感じなので、好き嫌いは人それぞれ。味を楽しむというよりは精力剤として好まれているようです。値段は一杯150コロン(約45円)。意外に安いんです。

また市場には、南国を思わせる果物がたくさんあります。日本でも最近おなじみの、輪切りにすると星形になるスターフルーツや、外見は赤く毛むくじゃらだけど中身はライチのようなさっぱりした甘さが特徴のランブータン。マンゴーやパパイヤなどは日本のものよりも3、4倍はする大きさです。

特に目を引くのは大きなバナナです。緑色のものと黄色のものがありますが、緑色のものはプラタノと呼ばれ調理用。煮たり揚げたりオーブン料理に使ったりと調理法はさまざまで、火を通すことにより芋のような味になります。黄色いものは日本と同じく果物として食べます。これらの果物のほとんどは、温暖で雨の多いカリブ海側で収穫されているそうで、なかでもバナナはコスタリカを代表する輸出品の一つです。

そのカリブ海で収穫されるもう一つの代表的果物がグアナバナです。ラグビーボール大の緑色の果物で、見た目はごつごつして何とも不格好なのですが、中の果肉は真っ白で柔らかく、上品な甘さは「森のカスタードアイス」といわれるほど。1キロ500コロン(約150円)で、大きいものになると一つ10キロほどになるのだとか。丸ごと一つ買うとかなりの値段になるので、切り売りもしています。店員さん曰く「この果物は木になってるんだ」とのこと。でも10キロ近いこの実が、どういうふうに木になるというのでしょう?私たちはこのグアナバナのことがもっと知りたくなり、市場の方に農園を紹介していただき、見学に行くことにしました。

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熱帯雨林に覆われたリモン ヘラルドさんと家族 作業に付いて行くスタッフ
約束の日の朝、私たちはカリブ海側を目指しサンホセの街を出発しました。グアナバナ農園のあるリモン県グアピレス群まで車で東に約2時間半の遠い道のりです。リモン県はその大半が熱帯雨林に覆われたジャングル地帯。この熱帯のジャングルで、コスタリカの豊潤な果物が育っているのです。またリモン県は、コロンブスがコスタリカを発見した場所としても有名です。

紹介していただいたグアナバナ農園の主、ヘラルド・マリンさん(50歳)のお宅はヒメネスという村の集落にありました。ヘラルドさんと共に私たちを歓迎してくれたのは、奥さんのサラさん(47歳)と末娘で三女のステファニーちゃん(11歳)。「じゃあ農園を案内するよ」というヘラルドさんに付いて、自宅から車で約15分ほどの農園に向かいました。

ヘラルドさんの手がける農園は約20ヘクタール(東京ドーム約4個分)。ここでグアナバナやパパイヤを栽培しています。今日の作業はヘラルドさんと共同経営者のアマリリスさん(32歳)、ヘラルドさんの甥ジョナサン君(17歳)で行います。まずはグアナバナの作業に向かうという彼らに付いていったのですが、その向かっている方向にはジャングルしか見えず、ちょっと農園というふうには思えません。しばらく歩くと、生い茂った木々の中に柵が設けてありました。どうもそこからが農園ということのようです。その中にはグアナバナの太くて大きな木が60本ほど立っていました。

そもそも一番疑問に思っていたのは、「10キロ近い大きなグアナバナの実が、どういう状態で実っているのか」ということでした。「市場の人は木になるといってたけど・・・」。その疑問は農園の木を見てすぐに分かりました。と共に大きな衝撃も・・・なんとグアナバナは木の幹や枝などのいたる所に直接実を付いているのです。しかもヘラルドさん曰く「多い時には1年で1本の木から100個採れたこともある」のだとか。実際の収穫を見せていただくと、実を持って木とつながっている茎の部分を中心にグルグル回すとポロッと取れるという、その大きさからは簡単すぎると思えるほどの収穫方法です。

グアナバナは苗を苗床からを農園に植え替えてから、2年以上順調に育てば最初の収穫ができるそうです。今、ヘラルドさんの農園にある木はそのほとんどが10年以上経ったもの。小さな花が付き、花から実になって約4ヶ月程で収穫できるそうで、「実に艶が出てきて、叩くと中から響きが帰ってくるもの」がよい出荷時期なのだとか。そして完熟より少し前に収穫し出荷するのがポイントなのだそうです。グアナバナは収穫してからの鮮度の落ちがとても早いため、完熟して出荷すると市場ではすでに「熟れすぎ」の状態になるとのこと。お客さんにベストの状態で買ってもらうため、早めに収穫するのです。

栽培で最も注意しているのは害虫による被害。果実にそのような害虫がつくと売りものにはならないため、週に2回ほど害虫よけの薬を撒いているそうです。
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グアナバナ園
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幹に直接付いている果実
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熟れた果樹は簡単に採れる

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吊り橋を渡りパパイヤ園へ 成長を確認する 害虫対策は最も重要
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とても元気なお孫さん達
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仲の良いヘラルドさん夫婦
次に案内してくれたのが、グアナバナ農園から歩いて5分ほどのパパイヤ農園です。そこへ行くにもまた草原と川を越え、行かねばなりません。その昔にジャングルを切り開き、農地開拓をしてきたコスタリカの人々の苦労が偲ばれます。

パパイヤ農園には約5000本のパパイヤの木がありました。まだ黄色に色づく前の、緑色の大きなパパイヤの実がたくさん付いています。パパイヤは雌雄異株(雄花の木と雌花の木が別々)の植物。実が付いているのは雌の木です。東南アジアの国や沖縄などでは、熟れる前の緑のパパイヤを調理用食材として利用したりもしますが、コスタリカでは一般的に緑色の状態では食べず、熟した黄色いパパイヤを果物として食べる方が多いそうです。畑のパパイヤも、黄色くなったら出荷。甘くてジューシーなパパイヤはコスタリカ人の大好きなデザートです。

「何といっても農作物を育てていくこと自体、子供の成長を見ているようで楽しいよ。そして時間をかけ育てたものが、自分の手を放れ旅立っていく時の充実感は何ともいえない。小さい時から育てた甲斐があると思う瞬間だよ」というヘラルドさん。「もちろん、一生懸命育てても思い通り行かないこともある。でも辞めようと思ったことはない。『よい商品をありがとう』と言って買ってくれるお客さんがいる限り、やり続けるよ」。

ヘラルドさんが自分の農園を持ったのは25歳の頃。それ以前はバナナ農園の従業員として働いていました。果物の栽培技術はそこで覚えたそうです。26歳の頃にサラさんと結婚。一男三女の父となります。現在、三女のステファニーちゃん以外は独立しましたが、皆近くに住み、いつも実家へ遊びに来ています。もともとヘラルドさんの家も彼の兄弟達と同じ敷地内にあるため、自身のお孫さんや兄弟達の子供や孫などたくさんの子供達が集まり、その庭ではいつもかわいらしい声が響いています。

コロンブスがコスタリカを発見してから約500年。人々は家族という社会構成のなかで最も小さな集団を大切にし、さまざまな逆境を経てこの国を作りあげてきました。農業国コスタリカを支える小さな農家の主、ヘラルドさんは最後にこう話してくれました。「一番大切なのは家族との結びつきだよ。よい時でも悪い時でもいつも結びついていること、そうすればどんなことでも乗り越えていけるのだから」と。

 

コスタリカ「ボルボン青果市場」
アルバム
   市場のセレクト写真集
見所紹介
   市場を通して見えてくるものは?
番組内容
   ボルボン青果市場をご紹介
制作こぼれ話
   撮影現場の裏話満載!
市場で働く女性
   老いも若きもがんばってます
お国自慢レシピ
   簡単でおいしい逸品を伝授します