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火山に囲まれた中央盆地 ヤシの木が街路樹の町並み 雨期は毎日雨が降る
北米大陸と南米大陸の中間に位置し、「中米の楽園」と称されるコスタリカ共和国。国土の約4分の1が国立公園や保護区に指定され、その国を挙げ豊かな自然を保護していく姿勢は、「自然保護の先進国」ともいわれています。東にカリブ海、西に太平洋と東西が海に面し、国土の中央部を現在も活動中の火山帯が占めるなど、変化に富んだ地形が素晴らしい自然を育んでいます。

国の総人口は約415万人(2002年現在)で、隣国は北のニカラグアと南のパナマ。国土は約51,100平方キロメートルと九州と四国を合わせたほどの大きさです。地理的には熱帯に位置し、大まかに12月から4月を乾期、5月から11月を雨期と分けることができますが、海岸部と内陸部では標高差もかなりあるため、地域によって気温・降雨量は違ってきます。いずれにしても、雨期に訪れる場合は雨具は必携でしょう。通貨単位はコスタリカ・コロン。1コロンは約0.3円(2003年9月4日現在)です。ただし日本円からコロンへの両替を行っているところはほとんどないため、USドルを持っていくことをお勧めします。

公用語は他の多くの中米諸国と同じくスペイン語で、一部ホテルなどでは英語が通じるところもあります。日本からコスタリカを訪れる場合、飛行機の定期直行便は現在運行されていないため、少なくとも一回はどこか他の国での乗り換えが必要です。一般的なのはアメリカで乗り換えてコスタリカへ入国する経路でしょう。日本との時差は15時間遅れ(日本が正午の場合、コスタリカは前日の午後9時)。距離的にも移動時間的にも、まだまだ遠い国です。

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サンホセは国内一の大都市 小さな町 エレディア 中央公園とカテドラル
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エレディアの学生
首都は火山などの山々に囲まれた中央盆地に位置する、標高約1150メートルの高原都市サンホセです。サンホセは政治、経済、文化の中心地であり、国内各地への交通の要衝でもあります。鉄道のないコスタリカでは、サンホセを中心に放射線状に延びる飛行機や長距離バスを使って地方都市へ移動するのが一般的で、旅行者もなにかとこの街を訪れることになります。街にはホテルや商店、レストランも多く、また東京さながらの交通渋滞などを見ると、いかにもここは首都なのだと感じます。

そのサンホセから車で北西に約30分。人口約35万人のエレディア県の主都エレディアは「花の都」とも呼ばれ、まわりを山々に囲まれた、昔ながらの文化や建築物を受け継ぐ小さな地方都市です。郊外にはコーヒー畑や牧場が広がり、牧歌的で素朴な雰囲気があります。

町は中央公園とその向かいに建つカテドラルを中心に、碁盤の目状に区分されています。1796年に建築されたカテドラルは、イギリスから輸入した鋳鉄製の基礎を持ち、幾度とない地震にも影響されることなく町のシンボルとして数百年もの間、人々に愛されています。中央公園では追いかけっこをする子供達やベンチでくつろぐお年寄り、おしゃべりに夢中な女子高生など、それぞれが思い思いの時間を楽しんでいました。

またエレディアは、「学生の町」という一面も持っています。町の東側に大きな国立大学があり、国内の優秀な学生が多く通っています。町には学生の姿が多くあり、そのせいか町自体が若々しい活気に溢れていました。ちなみにコスタリカは国家予算の21%以上を教育費にあて、9年間の義務教育を無償にするなど、教育レベルは中米屈指ともいわれています。

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エレディア中央市場正面 市場内部のメイン通り 活気ある青果売り場

今回、旅をした「エレディア中央市場」はカテドラルから南に2ブロックほど離れた、町で最も賑やかな場所にありました。1929年に開設、現在、店舗数は約120店。食品はもちろん、衣料品や日用雑貨など生活に必要なものは何でも揃い、70年以上地元の人々に愛され続けている市場です。

市場内部は正面入り口からまっすぐに延びるメイン通りを中心とし、碁盤の目状に細い通路が広がっています。中央付近が肉、魚エリア、その回りに青果売り場や雑貨売り場・食堂などと、一応売り場エリアは分かれているようです。

鮮魚店では意外にもたくさんの種類の魚介類を目にすることができました。サメやスズキなどの白身魚、エビやカニ、貝柱などもあります。一番人気は1キロ1500コロン(約450円)のシーラ。ほとんどは太平洋で水揚げされたものだそうです。

ここでお店のおじさんが見せてくれたのが、ビニール袋に入ったピンポン玉のようなもの。なんとそれは海亀の卵、12個で400コロン(約120円)でした。魚屋で売られているからには、もちろん食用ということになります。茹でて黄味だけ食したり、香辛料で味付けしたトマトジュースに卵を割り入れ、生のまま一気に飲みこんだりするそうです。コスタリカ太平洋側の、ある海岸で産卵されたものだけが販売を許されているとのこと。卵自体は味がほとんどないそうで、味を楽しむというよりは精力剤として好まれているようです。

精肉店の店頭には豚の頭から、豚足、牛タン、内臓などありとあらゆる部位が並べられていました。普通のお肉も、1ブロックの固まりのスケールが日本とは全然違い「このひとかたまりは一体何十キロだ?」というものばかりです。コスタリカの人もお肉は大好き。ステーキはもちろん、肉の煮込みやスープなどに用いることも多いそうです。豚肉ブロックは、大体1キロ1250コロン(約375円)ほどで売られていました。

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ビニール袋入り海亀の卵
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「ウチの肉は最高だよ!」

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南国のフルーツが沢山! 微妙な果物、ホコテ 素朴な味のタマル・アサド
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なぜ米に掃除道具が・・・
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真っ白のフレッシュチーズ
市場のメイン通りを終点まで行くと、両側に青果店が連なっています。天井からつり下げられたたくさんのバナナ、山のように積みあげられた南国のフルーツなどを見ていると、やはりコスタリカは熱帯に位置するのだと実感します。

この南国のフルーツの中に見たことのない、緑色や赤色をした小さな果物を見つけました。1キロ1000コロン(約300円)のホコテと呼ばれる果物で、実が若い緑のうちは塩をふってお酒のつまみにし、赤く熟したものはそのまま食べるそうです。試しに赤いものを食べてみると果肉はマンゴーのように甘く美味しいのですが、皮が厚く(しかも苦い)、種が大きいため、食べられる部分がほんのちょっとと、残念ながらお腹が膨れないフルーツでした。

市場の中には、甘いお菓子を売っているお店も見かけます。タマル・アサドと呼ばれていたのはトウモロコシの粉で作ったケーキで、コスタリカの伝統的なお菓子。トウモロコシのほのかな風味が素朴な味わいで、甘みもほどほど。もっちりした食感が日本人好みかも知れません。1ホール3000コロン(約900円)。甘いものといえば、バナナやコーヒーと同じくコスタリカの特産品サトウキビから作られる、ミネラルたっぷりの黒糖もあります。コスタリカ流、黒糖の美味しい味わい方は「水に溶かして飲む」という実にシンプルなものでした。

穀物店の店頭では、ちょっと不思議な光景を目にしました。なんと、お米が入った箱の中に、ホウキやモップを刺して売っているのです。しかも一軒だけではありません。「これでは掃除道具はいいとしても、お米は売れないのでは?」と思って見ていると、ちゃっかりその箱の中からお米を取り出し売っています。お店の方にどうしてお米に掃除道具を刺しているのか尋ねたところ、「ホウキを置く場所がないし、ディスプレイとしても格好いいから」とのこと。まさかそんな答えが返ってくるとは・・・文化の違いをひしひしと感じます・・・

コスタリカは酪農も主な産業のひとつです。市場では美味しそうなフレッシュチーズを扱うお店が数店ありました。この市場でチーズを卸しているのが、カルロス・モラレスさん(48歳)。市場では、美味しいチーズを作る職人として一目置かれている人です。カルロスさん自身が飼育する牛のミルクで作った、手作りのフレッシュチーズは1キロ950コロン(約285円)。試食してみると臭みもなく、牛乳の濃厚さが伝わる本当に美味しいチーズでした。市場の方にカルロスさんを紹介してもらい、牧場を訪ねることにしました。

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見渡す限りの牧場 カルロスさん(右)と父 のんびりくつろぐ子牛
カルロスさんの牧場をめざし、私たちはエレディア中心部から車で北西に約1時間半ほど走ったアラフエラ県のサルセロという町に向かいました。サルセロは「中南米のスイス」ともいわれ、酪農が盛んな高原の小さな町です。牧場は町の中心部からさらに山を登った所にありました。町を抜けると程なく舗装されていない道路になり、およそ30分、見渡す限り緑の牧草地が広がる、広大な牧場に着きました。

牧場の中にぽつぽつと民家や牛舎、家畜小屋が並んでいます。その中の一軒がカルロスさんのお宅です。出迎えてくれたのはカルロスさんとお父さんのアレハンドロさん(74歳)。作業はカルロスさんを中心に家族や従業員で行っているとのこと。さっそく牧場とチーズ作りを案内してもらいました。

広大な牧場の面積は約100ヘクタール(東京ドーム約21個分)。ここで約200頭の牛を飼育しています。単純に計算してみると、一頭につき約0.5ヘクタール(約5000平方メートル)の人口密度ならぬ牛口密度となります。なんと贅沢な環境でしょう!チーズを作る原料の牛乳がこのような環境で作り出されているというのも、カルロスさんのチーズが美味しい理由のひとつです。

作業はまず、牧場に散らばっている牛を集め、搾乳室に入れるところから始まります。牛に声をかけたり、口笛を吹いたりしてひとまとめにし搾乳室へ導きます。牛の方も慣れたもので、行儀良く一列に並びながら丘の上にある搾乳室へ登っていきます。「牛と接している時は、仕事というよりも牛から安らぎをもらっているという感じかな。だから牛には愛情を持って声をかけたり、口笛を吹いたりしているよ。そのことは牛が一番よく分かってくれている。だからちゃんということをきいてくれるんだ」とカルロスさんはいいます。

搾乳室では弟のファビオさん(36歳)や従業員の方が搾乳をしていました。そこにカルロスさんも加わります。一頭一頭の牛の頭をえさ台に固定し、後ろ足の2本をひとつに縛ります。その後、乳頭を拭き、清潔にしてから搾乳機を付けます。一回に搾り取る牛乳の量は大体25リットル。牛の乳房にはもっとたくさんの乳が入っているそうですが、全部採ってしまうと次に搾乳できる状態になるまでに時間がかかるため、搾り取る量をコントロールしているそうです。
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一列になって丘を登る牛
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搾乳のコントロールも大切

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水分とチーズとに分かれる 固さは時間で調節する 家族での団欒
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甥っ子さんもチーズ大好き
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お父さん、弟さんと一緒に
搾乳したばかりの新鮮な牛乳は、搾乳室の隣にあるチーズの製造室に移されます。大きな樽の中に約110リットルの牛乳を入れ、そこに凝乳酵素をほんの少し入れます。約25分後、樽をかき回すと牛乳の固まりと水分とに分かれていました。この固まったものがチーズとなります。

水分を抜いて固まった牛乳に、その分量に合った塩水を入れ味付けをしてからチーズ型にはめ込み、さらに自然に水が抜けるのを待ちます。10分程置けば柔らかめ、30分程置けば堅めに仕上げることができるのだとか。その後、熟成はさせず、新鮮なまま市場に卸します。こうして一日約90キロのチーズを作っているそうです。

11人兄弟の4番目として生まれたカルロスさん。お父さんの酪農を継いだのはカルロスさんを含め5人の兄弟達でした。20歳で仕事の中心を任されるようになったカルロスさんは、お父さんからは自分の右腕として、また一家を支える男手として、厳しく教えられたそうです。70歳を過ぎてなお酪農作業を手伝う父アレハンドロさんは、「カルロスはまだまだひよっこだけど、本当によくやっているよ。時には仕事に口を出したい時もあるがね。うちの息子達は皆、本当にいい子たちだ」と息子達の成長を嬉しそうに話してくれました。

「こだわりは、とにかくよいチーズを作ること。一口食べれば質の善し悪しは一発でわかるからね。そのためには作業のひとつひとつに気を配り、確実にやっていくことだよ」というカルロスさん。市場はカルロスさんにとって、こだわって作った良質の商品を多くの人に買ってもらうための場所、そして家族のための生計を立てる場所なのだといいます。

では、カルロスさんにとって家族とはどんな存在なのでしょう?今は三人のお子さんの父でもあるカルロスさんは言います。「喜びを与えてくれる、自分にとっての生きる糧だよ。家族のために毎日を戦っているのだから。そういうこともね、私の父が教えてくれたんだよ」。父アレハンドロさんは仕事だけでなく、家族を思う大切な気持ちもカルロスさんに伝えていたようです。今のカルロスさんの想いも、いずれお子さん達が感じとることでしょう。大切な想いは、確実に次の世代へ伝わっているようです。

 

コスタリカ「エレディア中央市場」
アルバム
   市場のセレクト写真集
見所紹介
   市場を通して見えてくるものは?
番組内容
   エレディア中央市場をご紹介
制作こぼれ話
   撮影現場の裏話満載!
市場で働く女性
   老いも若きもがんばってます
お国自慢レシピ
   簡単でおいしい逸品を伝授します